20代~30代のキャリアを考えるブログ

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新卒社員の育成課題について考えた

新卒採用を取り組む企業が多い。一方、新卒から会社に入っても力がつかずに働いてきた会社でしか通用しない問題について論じたい

若者が辞めることは問題ではない 

若者がすぐ辞めることが問題と言われているが、これに関しては致命的な問題とは思っていない。就労経験がない人間が人から聞いた話をもとに経験に基づかない想像上の世界で仕事の中身を推し量っているため新卒で就職した会社と本人のミスマッチは必ず起きるだろう。そのためある一定数の退職が出ることはしょうがないことである。逆にうちは退職者ゼロと表で言って必死に引き止め工作をしている企業の方がよっぽど問題だ。 

もっと怖い問題がある。それは、育成能力がない会社に入り、その会社でしか通用しない人間になってしまうことだ。仮に会社が倒産したときのことを考えよう。その会社以外で働かざるを得ないのでその際に、他社が雇ってくれるだけの評価をあなたはしてもらえるだろうか。

私自身は三菱商事やトヨタ、三菱地所といった各業界のトップ企業に関しては向こう50年間は倒産することはないと思っている(歴史的に見て大きな産業の業界1位の倒産は数えるほどしかない)。

しかし、業界2,3位以降の企業は東芝やシャープのような経営危機に瀕することはあるだろう。そのため、自社だけに目を向けているのはあまりにも危険すぎる。丸紅や、スズキ自動車、東急不動産といった企業はもしかしたら50年後はないかもしれない。

山一證券の場合は、優秀な証券マンがたくさんおり、他社と同じモノをセールストークでがんばって販売していたため他社でも通用するスキルがあったため拾ってくれる会社はあった。(当時は新卒主義が根強いため採用枠がそもそも少ないという問題点こそあったが)

新卒が身に着けるスキルを4分類

新卒育成の話に戻る。

新卒育成をするにあたっては何を身に着けさせるべきか、そして新卒社員側は何を身につけなければいけないのか考えてみよう。まずはスキルを4種類に分ける。 

定量化できる汎用スキル

定量化できない汎用スキル

定量化できる社内でしか通用しないスキル

定量化できない社内でしか通用しないスキル

この4点に絞らせていただいた。

定量化できる汎用スキル

特定のプログラミング言語が書ける、ITコンサルタントとしてSAPやOracleの導入ができる、IFERS会計基準による業務経験がある、金融商品の組成ができる、M&Aアドバイザリーの経験があるといったものが該当する。この場合、ある程度書面を見たら(相手が嘘をついていない限り)その人のスキルがわかる。

この能力は企業が募集を情報する際に企業側が要件として提示してくれるのでそれに合致しているか合致していないかで、受かるかどうかがある程度わかるので企業側にも求職者側にも優しいだろう。

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定量化できない汎用スキル

定量化できない汎用スキルとは、リーダーシップや、チャレンジを恐れない精神といった定量化できないがその人を評価するうえで絶対に必要なことだ。もちろんカルチャーとマッチする上で必要なスキルの側面もあるが、多くは当人の仕事の評価につながる。

外資系で特に重要視される、リーダーシップはレジュメにリーダーシップあるというだけでは伝わらない。この項目に関しては、面接で過去の体験を掘り下げるしかない。口頭できちんと相手につたわる具体的なエピソードをもちつつ、うまく過去の体験がまとまっていないといけない。

たいていこのスキルは経験に基づくことが多く、年齢が高ければ高いほど有利になる。よってマネジメントポジションでは、定量化できない汎用スキルが求められることが多い(部下とのコミュニケーション能力など)。

定量化できる社内でしか通用しないスキル

極端な例から入るが、社内の社訓の書き取りテストで満点を取っている人は社内の試験で高い点数をとっている人として認識されるだろう。このスキルはまったく他社では役には立たないが自社では評価を得るかもしれない。

社内独自で構築したシステムを使いこなせることや整備できることは社内で通用するが、他社では使えない社内でしか津用しないスキルだろう。

定量化できない社内でしか通用しないスキル

会社の社長の出版している本の感想文が優れている場合はこれに該当するだろう。感想を書く行為は汎用性があるが実社会で役立つことが少ないのでここに分類する。また、各部長の好きな食べ物を把握しておくことも定量化できない社内スキルだろう。

日系大手の場合、定量化できない社内スキルが昇進に役立つことが多い。しょうもない会社の独自を守れる人が出世するのもおかしな話だが「伝統」と位置付けられているものを継承することはどの社会においても重要なので出世にプラスになってもよいのかもしれない。

4つの分類を検討したうえで新卒社員の育成について考える

「仕事でのやりがいがないから辞めたい」そう言う1,2年目は数多く見てきた。そして、転職活動をして去ることが多々ある。仕事のやりがいとはなんだろうか?もう少し細かく見てみる。

私が聞く限りこの3点は大きい。

1.成長している実感がない

2.裁量がない

3.理不尽な仕事が多い

意外にも1,2年目はフレッシュなので労働時間の長さについてはあまり言及されない。給料が低く、長時間労働の場合は比較的早く言及されることがあるが今回は除く。

1.成長している実感がない

成長している実感がないとは、定量的な汎用スキルが身についていない状態を指すことが多い。社内しか通用しないスキルであっても定量的に推し量れるスキルであれば比較的成長感は感じられる。最も勘のいい人はすぐに社内でしか通用しないスキルしか身につかないと気付く人もいるが少数だろう。社内のみで使うシステムであっても使いこなせるようになればそれなりに仕事できるようになった感はある。

つまり、成長している感情をもってもらうために段階的に仕事ができるようになっている課題を与えないといけない。単発の仕事ばかりぽつぽつやっていても不安になる。簡単なのはExcel分析だ。Excel分析の技能があがるだけでも最初の半年は成長を感じることはできる。(もっともしばらくしてつまらないと感じるが)

2.裁量がない

裁量は、自分で意思決定できる、もしくは他者を巻き込む機会のある仕事だ。これは定性的な汎用スキルであることが多い。リーダーシップ、オーナーシップといった意識がかかわってくるからだ。自分でやれる範囲がどんどん広がることで勉強では学べない部分を身に着けることができるのだ。机の知識を身に着けていけばある程度の成長が感じられるが、それを実践する場がなければ不満になるのだ。

3.理不尽な仕事が多い

飲み会、上司のごきげんとりがこれにあたるだろう。これは会社によっては避けては通れない出世のための仕事だが嫌になる人が多い。社内でしか使えない仕事であるからだ。もし、飲み会で上司のグラスにビールを注ぐことが転職マーケットで評価されるとしたら、今まで以上に精を出す人は増えるだろう。もちろん社会のためになっていない仕事なので嫌なものは嫌だと思う人がいるだ。

自分の成長につながると思えば、上司の叱責も耐えられるが、理不尽な内容であったり、会社の独自のルールを押し付けられたりしたらすぐに嫌になる。

つまり上記に該当しないように新卒を育成しないといけない。逆に上記の3点をクリアできればやる気と体力のある新卒はすぐに戦力になる。めんどくさいと思うだろうが、新卒は何にも色に染まっていないため、チャレンジを与えないといけない。仮に会社のレギュレーションで与える仕事が限られていたとしても、その仕事がいかに意味があるか、のちの成長や仕事に役立つかをきちんと伝えないといけない。先が見えない仕事だけはさせてはいけない。新卒を採用している仕事にはこれらのことを守る義務があると私個人は考えている。

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新卒のモチベーションが下がってしまったら

新卒はモチベーションが下がることがある。それは同期や、大学時代の別会社の友達と比較したときに自分の仕事の意味が見いだせなくなってしまう。そういったときには1:1の面談をしてほしい。いかんせん何もできない新卒に時間を割いて面談をすることを放棄してしまうと、新卒の心離れは早い。自分がいなくても会社が回ると思われた瞬間(実際にそうなのだが)に自分を必要としてくれる他社にうつってしまうのだ。

新卒の育成について簡単に述べさせていただいた。また、新卒を育てる機会があることは会社の中で評価されていると見なされる。よって、育てるポジションを積極的にとりにいってほしい。もし育てる機会に恵まれない会社で仕事もやりがいもなかった場合は、あなた自身が転職してもよいだろう。