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アクセンチュアの買収戦略から見る今後の経営戦略の行方

アクセンチュア(Accenture)が買収を推し進めている。アクセンチュアはIT、業務、戦略コンサルティング事業を展開してきたが近年は、コンサルのみならず広告領域に進出しその勢いを強めている。実際のアクセンチュアの買収の状況について調査してみた。作成にあたって、中の人はじめ多くの現役コンサルタントにご協力をいただいた。

アクセンチュアとは

戦略、コンサルティング、デジタル領域、ITをはじめとするテクノロジー、オペレーション改善の5つの領域を主軸に展開するコンサルティングファームである。戦略コンサルと呼ばれているマッキンゼーやBCG、ベインとは事業領域が異なる。

ただし、一部の戦略ファームでもアクセンチュアのように総合的なコンサルティングサービスを展開するところがあらわれはじめている。

元々は監査法人だったアーサー・アンダーセンから分離してできた。A.T.カーニーとマッキンゼーが元々同じ会社だったのが別れてできたという流れとやや似ている。

分社化したのは1989年、そしてアクセンチュアという社名になったのは2001年というところで歴史は比較的浅い。(アーサーアンダーセンのころから顧客の付き合いがあるため実績という意味では十分にある)

日本の東京オフィスも1989年から存在する。著名なコンサルタントや起業家、事業会社の経営者も輩出している人材輩出企業としてもしられている。現在は、新卒が数百名はいる大企業と変わらぬ勢力を持つ会社である。

買収攻勢をかけるアクセンチュア

まず、下記が直近アクセンチュア(Accenture)が買収した企業一覧だ。アクセンチュアのグローバルの動きが多いので必ずしもアクセンチュアの日本法人の動きと連動していない点にご留意してほしい。

買収企業一覧

買収企業 事業内容 買収日時 ソース
アイ・エム・ジェイ(IMJ) 日本のマーケティング支援
企業
2016/04/05 ソース
カート・サーモン社 小売業界を得意とする世界的な戦略コンサルティング企業 2016/09/22 ソース
Fjord ロンドンに本社があるデザイン会社 2013/05/07 ソース
アクシア 戦略コンサルティング 2015/04/04 ソース
パシフィックリンク 香港のインターネット広告会社 2015/07/23 ソース
ケイオティック・ムーン・スタジオ アプリ開発会社 2015/07/23 ソース
OCTOテクノロジー(OCTO Technology) フランスに本社を置くITコンサル 2016/09/15 ソース
Tquila UK Salesforce provider 2015/05/13 ソース
OPS ルールズ(OPS Rules) サプライチェーンや運用分析機能ソリューションを開発するためのデータ分析アプリケーション会社 2016/11/05 ソース
クラウド・シェルパス(Cloud Sherpas) クラウド・ソリューションアドバイザリー業務とテクノロジー支援サービス 2015/09/15 ソース
FusionX ワシントンD.C.に拠点を置くサイバーセキュリティ企業 2015/08/14 ソース
Structure 米テキサスに拠点を置くコンサルティング企業 2015/01/07 ソース
S3 TV Technology アイルランド ダブリンに本社を置くS3グループのTVテクノロジー事業部門 2015/10/22 ソース

どうだろうか?かなりの数を直近だけでも買収していることがわかるのではないだろうか?コンサルティング会社からIT企業、さらにはアプリ制作会社まで含まれている。日本ではデジタルマーケティングに強いIMJを買収したことで話題になった。

日本の動きだと唯一がIMJが関わっているためまずはデジタル部分に関して考察を深めていきたい。

なぜデジタルに力を入れているのか

デジタル領域はこれまで電通、博報堂をはじめとする広告代理店が抑えていた。テレビ番組の広告枠を購入するときには日本では限られた日系の広告代理店のみがおこなっている。

厳密には外資系のマッキャンエリクソン等もテレビCM枠の買い付けをしているが日本の大手広告代理店が占有しているのがテレビCM枠の購入ビジネスだ。

テレビCM枠の購入は横に流すビジネスの典型だ。テレビ局からCM枠を買い付ける。「~の提供でお送りしています。」というよく見るCMや15秒の枠だけ買い付けるタイプなどが存在する。CMについての解説はまた別の機会に行うが、テレビCM枠は限られた企業が行っている横流しビジネスに近い。

もちろんテレビ局への接待という意味で電通の社員が疲弊しているのは事実だが付加価値は決して高くはない。それよりもテレビCMの制作を行うことがよりクリエイティブに受け取られるだろう。

もちろん広告代理店側からするとテレビCM枠の買い付けは大きなビジネスで局担当と呼ばれる人員も配置しているので、重要視している。

TVCMからネット広告への投資シフト

さて、前段が長くなったが、この流れが変わりつつある。企業はテレビCMからネット広告をはじめとするデジタルにシフトしはじめた。

テレビCMはダメだという意見があるが全くそんなことはなくテレビCMの影響は今なおかなり大きい。(本ブログはインターネット上で提供されており、読んでいただいている方もネットリテラシーが高いがテレビにはあまりなじみがないかもしれない)

テレビCMとデジタルを組み合わせることで今まで以上に効果的なリーチが消費者にできるよというのが現在の流れだと個人的には考えている。

全くテレビを見ない層にリーチする際は、テレビでは全くリーチできないので新しいチャネルで訴求できる点で、デジタルは欠かせない。

具体的にデジタルというとYoutubeで流れる、15秒や5秒、時には数分になる動画、YahooやGoogleを見ていると表示される広告といったものが該当する。これらの広告はYDN,GDNといったアドネットワークと呼ばれるシステムで配信されている。

デジタル広告に関する仕組みはかなり難しく、論文を読んで理解するのが最もよい。もともと、ウォール街で、デリバティブの組成に携わっていた投資銀行に勤務する人たちが広告業界に流れたため仕組み自体が難しい。

これまであった理論を広告に用いることで、広告業界にイノベーションがおきデジタル上で効果の高い広告がではじめた。

これらの結果、企業はデジタル広告に投下する予算が相対的に大きくなった。広告費自体はそれほど変わらないため、テレビ広告を削って、デジタル広告を増やしたイメージだ。

繰り返すが、デジタルとテレビを組み合わせて消費者へリーチしている。業種や売る商品にもよるのだが、frequency capという概念が存在し、広告を何回消費者に見せると効果が最大化されるかを考えている。

つまり1回見ただけで商品を買ってもらえるとは考えていなく何度も見せることで、半ば刷り込みの形で購入までもっていくことができるわけだ。

ソフトバンクやauなどは印象的なcmかつ何度も見たためイメージに残っているだろう。

デジタル広告の説明をすると2記事くらい終わってしまうためこの辺にしておく。

IBM、電通と競合しはじめる

つまるところ企業のデジタル予算が増えたのでこの予算を取りに行こうよね、というのがコンサルティングファームの流れなのだ。

その結果、これまで電通や博報堂とビジネスでバッティングすることがなかったにもかかわらず、PwC,IBM,アクセンチュアといった企業群とビジネスでバッティングするようになったのだ。

テレビ広告にはさすがにアクセンチュアは進出できないものの、デジタル広告はテレビ局から買い付けるという特殊業務が存在しないため参入しやすい。

逆に電通、博報堂は広告の購入や、TVCMの部分だけではなく企業の戦略から携わりたいね、と考え始めているのが現在の流れだ。

広告代理店とコンサルティングファームがこのようにビジネスで勝負する時代が来たのだ。

採用をすすめるアクセンチュア

さて、アクセンチュア(Accenture)だが、デジタル領域を担当するコンサルタントを採用しデジタルの強化を始める一方、デジタル専業のエージェンシーであるIMJを2016年に買収した。

マーケティング領域はコンサルティングファームは決して強くないのだが、マーケティング領域はまだまだイノベーションが起きるとみている。

マーケティングという単語でいくと、マーケティングオートメーション(MA)といった、マーケティング担当者をサポートするための考え方、それに関連するツールの市場が一気に拡大した。データ分析をサポートし効果的なマーケティングをしようよねというのが流れだ。

ビッグデータ解析やITに強いアクセンチュアがマーケティング領域を強化することで、企業のマーケティング活動もろともささえようというのが流れだ。ちなみに企業は広告費への投下が売上の半分近くになることもあり規模的に大きい市場ではあった。

IMJはデジタルマーケティングでクライアントとの関係性も強く実績もあるのでアクセンチュアからすると十分に買収シナジーがあると考えたわけだ。

デロイトやPwC、IBMといった企業群も同様の動きをしているので注目してほしい。もう知っている方も多いが今更戦略だけで食べていこうとするのは一部の本当に限られた会社だけだと思ってほしい。

よって、転職の際に戦略が良いですというのは本当にいい選択肢なのかをもう一度考え直したほうがよい。これからの成長性でいくとデジタルのほうが伸びしろがあるのは確実だ。

 

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デジタル市場に関連する企業の買収

アクセンチュア(Accenture)はデジタルに関連する買収が相次ぎ、Fjordはデザイン会社だ。デザインという領域もビジネスにおいてもはやマストの項目になってきた。WEB業界にいる方はUIUXという概念をよく聞くだろう。

ユーザーにどのような体験をしてもらうかの設計、そしてその体験をしてもらうにあたってどのようなデザインにすべきかを考える必要がある。これらを一貫して提供するとができる会社はいまだに多くはないため参入しようとしているわけだ。

デザイン会社とは異なるがデザインコンサルという領域も発展しており、デザインという文脈が大事にされてきている。デザインは美大出身のクリエイターだけではなく一般のビジネス担当者も考える必要があり、デザインをサポートするツールも発展している。

2015年にはケイオティック・ムーン・スタジオというアプリ開発業者も買収した。アプリ開発は世の中的に開発者が多くなく、またiOSやAndroidといった形で細分化されており外注よりもスピードや金額面を考えると自社にもっておいたほうがよいという判断である。

アプリはビジネスで必要なものと世の中のビジネス担当者が考えているのでアプリのサービスまで提供するのはよいことだ。

実際問題、アプリがそこまで必要かは議論したほうがいいと思うがスマートフォンを持っているユーザーが多い以上はアプリがいるだろうと無思考になっている担当者が多いのも事実だ。

小売ビジネスの強化も進めるアクセンチュア

パシフィックリンクという香港の広告会社も買収した。このパシフィックリンクという会社はO2O領域に強い広告会社だ。O2Oとは、ネットから実店舗への誘導だ。かなり簡略化した言い方をするとネットで知ったものを、店舗まで足を運んで買いに行くという流れだ。

もちろん現在はE-commerceというものが存在するためネットでものを購入するのだが、実はネットでの購入は先進国に比べるとかなり遅れている。まだまだ実店舗での購入がさかんだ。EC先進国の米国Amazonも本や小売の分野で実店舗を重視しているため実店舗というのは無視できない。

 

アクセンチュアの顧客として小売業は多くお得意さまのため小売業対策は重要である。よって小売ビジネスの強化のためパシフィックリンクを買収しデジタル×実店舗戦略の立案で他社を圧倒しようという考えだ。事実、この分野についてはアクセンチュアのナレッジは強いものがあり、効果も出ている。

加えて、カート・サーモンと呼ばれる小売に強いコンサルティングファームを買収した。あまり聞かないかもしれないがカート・サーモンは日本でも展開しており、業界ではかなり有名だ。カートサーモンの買収は小売領域のビジネスをもっとやっていきますよというメッセージに他ならない。

また小売の観点でいくと、サプライチェーンに強いOPS ルールズ(OPS Rules)を買収した。機械学習の色合いが強いのだが、小売において重要なサプライチェーンをサポートをしている。ちなみにコンサルティング業においてサプライチェーンは効果が見えやすく、かつ過去の知見が生かせるため積極的に取り組むプロジェクトの一つだ。サプライヤーを探し、調達コストを下げるだけで効果がでる。基本的に大きなロットで購入するので単価が下がるだけでコストインパクトはかなり大きい。

このように小売の領域はデジタル同様力を強めている。

ITは引き続き

AI、機械学習、クラウド、VR、セキュリティとITといっても幅が広すぎる。アクセンチュアはとにかく色々な領域に手を出している。アクセンチュアの社内で最新の知見を見ることができるが、海外の最先端の技術には常に力を入れている。最先端のビジネスは試行錯誤するため先行者として参入するのは決して容易ではないが、テクノロジー領域に強みをもつコンサルティングファームのため全般的に顧客のニーズにこたえようと努力をしている。

小売は強くない日本

これまでの文脈で小売に力をいれていると話してきた。ちなみに日本のコンサルは売上比率が通信/ハイテク >>小売あるため小売のクライアントは日本においては実は優先度が高くない。海外においては小売はパワーがあるがご存知のように小売りは利益率も低くお金があまっていない状況であるため、コンサルにかけている費用は少ない。

その一方で小売り、全社レベルの経営戦略というかなり重要な部分をコンサルティングファームに任せている実情はある。

今後のアクセンチュアの拡大戦略

アクセンチュア(Accenture)は、「企業のあらゆる種類の課題解決に対応できる」コンサルティング会社への変貌を図っている。

つまり、クライアントから頼まれた仕事を全部社内でこなそうとしている。例えばマッキンゼーでは、全社戦略しかできずシステム導入や、データベースのクラウド化はできないよね、となったとしたときにアクセンチュアであれば、システム導入も、クラウド化の作業も専属部隊がいますので大丈夫ですよと対応しようとしている

企業が外部ベンダーに発注する仕事のうち、一部の仕事を除いて、すべてアクセンチュアが対応できるようにしようというのが方向性だ。

(一部の仕事とは、低単価、汎用化、差別化できないなど、アクセンチュアにとってうまみのない仕事である)

また、企業がコンサルティングを発注するのは、基本的に「自社で実行することが難しい仕事」であり、その一つの条件が、「新しい分野」だ。

そして、新しい分野というだけあり、市場も伸びいる。よって、市場が伸びていて、かつ 外部発注されやすいという、ダブルでコンサルティング会社においしい市場が「新しい分野」となるわけだ。

そのためアクセンチュアは今、デジタルやアナリティクスを強化している。

戦略も重要な位置づけ

さて、いわゆる世間で話す戦略部隊の話をしてきていない。あらゆる種類の仕事に対応するためには、伝統的な「戦略」も必要だ。

現在、「戦略コンサルティング」部隊を強化するため、競合戦略ファームのパートナーをアクセンチュアに迎え入れている。結局戦略は、アクセンチュアは稼働していないと外部から揶揄されることもあったが、決してそうではなく、あらゆる分野に対応するために戦略部門も重要というわけだ。

また、データ(ビッグデータ)を扱う場合、普通の企業には「方針」レベルから「実務」レベルまで何をすればよいのか見当がつかない場合が多い。

そのため、アクセンチュア社ではアナリティクス部隊を、独立・ブランド化している。アクセンチュアのねらい目としては、企業のマーケティング部門がデータ分析で困っていたとする。そうすると、そのデータ分析業務自体をそのままアクセンチュアに外注させてしまうイメージである。

工藤 卓哉氏が同領域においてアクセンチュアでは有名なコンサルタントだ。

大企業すぎて分析の範囲が広い

現在、日本だけで8,000名程度のコンサルタントを抱えているため、事業の幅も広く本記事では書ききれないほどの量がある。私自身も全部把握しておらず今回話を伺った、アクセンチュアの戦略、コンサルティング、デジタル、テクノロジーの方でそれぞれ立場が違い、考えが異なるのが印象的だった。

簡単に記事の意見を求めたが、様々なご提言いただいたことここに感謝したい。

アクセンチュアへの入社は?

アクセンチュア社は、人事部が直接採用をかけているため、転職サイトを使って話を聞きに行くとよい。

BIZREACH(ビズリーチ)に登録するとアクセンチュア関連のスカウトがたくさんくるのでみてほしい。

コンサル初心者で不安なときはリクナビNEXTも同時に登録しておくとよい。外資コンサルだが英語ができなくても大丈夫である。もし英語に不安があるときは、スタディサプリ ENGLISHを試して英語の練習をしてほしい。

今日は以上だ。

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