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【最新】外資系コンサル「アクセンチュア」の転職、給与、昇進事情

転職市場においても、新卒市場においても人気の高いアクセンチュア。外資系企業であるため実力に応じて昇進が決まるが、具体的な給料はどうなっているかご存知だろうか。

アクセンチュアの現役社員の方々にご協力をいただき、最新の年収事情を教えていただいた。転職を検討している方はぜひ参考にしていただきたい。2018年の給与事情の最新版を反映している。

コンサルの給与制度の特徴

 基本的に、「職位」ごとの違いが給与に影響を及ぼします。

 どのファームも、名称こそ異なりますが、基本的には、以下の5つの職位があります。

職位名

分類

パートナー・ディレクター・ヴァイスプレジデント

部長・役員レベル

プリンシパル・シニアマネージャー

中間管理職

マネージャー

コンサルタント(アソシエイト)

一般社員

アナリスト(アソシエイト)

 各職位は、上記のように、主に3つの「分類」に分ける事が出来ます。

※また、一部ファームでは、職位の数が6つ以上あり、「一般社員」や「中間管理職」の分類の中にある職位の数が、3つ以上あることもあります。各社の細かい区分についてはここでは割愛いたします。

 

給与の変動要因 

コンサルティングファームの給与の推移は、一般の日系企業と大きく異なります。

日系企業では、毎年、評価に応じて「ベース給与」が増加していき、そこに「資格・職位ごとの手当て」が加算されることで、月給が決まっているパターンも多いのではないかと思います。

つまり、「これまでの経緯(去年の給与)をベースに今年の給与が決まる」というパターンです。

また、管理職になるまでは、給与にほとんど差がつかない企業もあり、30代中盤まで同期と横並びになることも珍しくありません。

ボーナスも、会社の業績に対して、資格・職位や評価に応じて、月給の数か月分が支払われていると思います。

 

コンサルティングファームの給与の考え方は、一般的な日系企業と大きく異なる

一方、コンサルティングファームの場合、年俸制であり、基本的に職位(+職位内の年次)ごとに給与が決定されます。

また、個人の評価は、「昇進に対してのみ」利用されていると解釈しても、大きな間違いはないでしょう(評価で基本給が上がっても、昇進のタイミングで大半が相殺されてしまうなど、あまり長期的なインパクトがない場合も多いです)。

つまり、「現在の職位」を見て給与が決定される(過去の経緯や去年の給与はあまり関係ない)といえます。

 

基本的に、「個人の評価や業績」が給与に大きく反映されるのは、一番上の職位である、「パートナー・ディレクター」と呼ばれる職位の方であると考えてよいでしょう(パートナーは、営業が仕事なので、成果を測定しやすいです)。

また、ボーナスに関しても、基本的に一般社員にはほとんどなく、中間管理職以上も、会社業績連動で支払われている割合が多いです(会社業績連動のボーナスが多いのは、あまりキャッシュをため込んでいないことが背景にあるといえます。ボーナスによって、利益と人件費のバランスをとっているといえるでしょう)。

コンサルは、現在の職位で給与が決まる

以上のように、コンサルティングファームの給与は、あくまで「現在の職位」によって決定され、評価も昇進のみに影響すると考えてください。つまり、現在、全く同じ職位の人達には、全く同じ給与を支払うのが原則になります。

アクセンチュアの給与構成は?

アクセンチュア・ストラテジーの給与構成 

アクセンチュア・ストラテジーの給与は、基本的に他の戦略ファームの給与をベンチマークして決定されています。

毎年金額が変わるので、なかなか正確な値を提示することが難しいですが、大まかな値を記載します。

※後ほど説明しますが、実質的な年収(税引き前)を記載しており、さらに実質的な残業代も加味しています。

職位名

実質的な年収(税引き前)

パートナー

※個人変動が大きい。まれに、シニアマネージャー時代より、給与が下がる方もいる

シニアマネージャー

約1900万円~

マネージャー

約1350万円~

コンサルタント

約1000万円~

アナリスト

約650万円~

同じ職位の間でも、その職位の中における年次が上がるにつれて、少し給与が上昇します。

大まかなイメージとしては、職位が上がるごとに、給与が1.5倍になると考えてください。

また、後述しますが、アナリストとコンサルタントは、残業代が適用されます(上記は、残業代を加味した給与になっています)。

 

アクセンチュア・ストラテジーと、MC(Management Consulting)の給与 

Management Consultingですが、ストラテジーと比較すると一ランク弱くらい、年俸が下がると考えていただくとよいかと思います。以下、大まかなイメージを載せます。

職位名

ストラテジー

MC

パートナー

※個人変動が大きいため不明。まれに、シニアマネージャー時代より、給与が下がる方もいる

シニアマネージャー

約1900万円~

約1500万円~

マネージャー

約1350万円~

約1050万円~

コンサルタント

約1000万円~

約800万円~

アナリスト

約650万円~

約550万円~

 基本的に、TC(Technology Consulting)は、MCとほぼ同じ給与だと考えてください。「年次によって同じ職位でも給与が少し上昇する」「残業代適用」などは、ストラテジーと同様です。

 

アクセンチュアの給与日とボーナス日

 まず、給与日は毎月25日です。そして、ボーナスについては、6月と12月に、年俸提示時に定められた金額が、半分ずつ支払われます。

アクセンチュアの給与体系の変更は?

近年、アクセンチュアは、毎年のようにベースアップをしています。そのため、資格ごとの給与の額が、毎年のように変化しています。

「ストラテジーであれば基本的に他の戦略ファーム」「MCであれば他の総合系ファームの経営コンサルタント」の給与をベンチマークしているようですので、最新の情報を手に入れるよう注意してください。

 

個人的には、ストラテジーのマネージャーの給与が他の戦略ファームと比較して低い気がしますので、来年あたりベースUPが行われるのではないかと感じています。

また、マネージャー以上は、会社業績連動のボーナスが、毎年数百万円単位で変化するので、「ボーナスを除いた年俸」と「ボーナス」は分けて、最新の情報を確認しましょう。

アクセンチュア・ストラテジーと他の戦略ファームの給与の違い

まず、他の戦略コンサルティングファーム間でも、給与は様々です。「コンサルタント」クラスでも、ファームによって、年俸が400万円程度も異なります。

そして、年俸の高低は、戦略コンサルティングファーム業界における、シェアやランキングとは、あまり相関がみられません。つまり、業界Topのファームが最も給与が高いわけではありません。

 

また、マネージャー以上は、会社業績連動のボーナスがあり、このボーナスの変動幅が非常に大きいため、やはり単純比較が難しいです。

さて、上記の前提の上で、アクセンチュア・ストラテジーは、他の戦略コンサルティングファームと比較して、どの程度の給与をもらっているといえるのでしょうか。

大まかな目安としては

・アナリスト: ほぼ同額

・コンサルタント以上: 競合戦略ファームの8-9割

と思っていただくとよいかと思います(上記で解説した通り、あくまで目安です)。

 

アクセンチュアのアナリストとコンサルタントは、残業代が出る 

ここまでで少し述べましたが、アクセンチュアでは、管理職未満には残業代が出ます。

基本的に、プロジェクト提案段階で、月30時間の残業代コストを上乗せしたコストにて提案をすることになっているので、よっぽど“ヤバい”上司でない限り、残業代が30時間付けられます

 

この残業代によって、額面上の年俸が、20%程度上昇することになります。(ただし、上記で示したモデル給与は、この残業代を、ある程度加味しています)

 

現実的には、どの程度の残業代がつけられるのか

 ところで、普通の企業であれば、残業した分だけ、残業代を付けることができます。では、アクセンチュアで、上記の30時間を超える残業した場合、それに見合った残業代を付けることはできるのでしょうか。

 

まず、残業代を含めた人件費は、基本的にプロジェクト単位で管理されています。しかし、大半のプロジェクトは、予算の余裕がないため、もし月30時間以上の残業代を付けると、予算が不足することになります。

もちろん、予算が不足していても、「残業代を付けることは権利だ」と考えて正直に残業代を付けることは可能です。また、残業代をつけることを上司に拒否された場合は、そのことを人事部に通報すれば、残業代が支払われます。

しかし、不足した予算の差額は、「マネージャーが有休を返上する(働いた日を有休扱いにする)ことによって捻出する」という結果になると思われます。

 

ちなみに、残業代が45時間以上になる場合、パートナー承認が必要になるため、さらにハードルが上がります。月45時間以上付けている例を、少なくとも私の周りでは聞いたことがありません。

もしプロジェクトの予算が非常に潤沢な場合、月45時間程度の残業代を捻出する余裕があることもあります。その場合は、さらに1割程度給与が増えることになります。

また、当然ですが、有休期間中は残業代が出ません(※かつて、みなし残業で月30時間の残業代が支払われていた時は、有休期間中でも、残業代が支払われていました)。

 

残業したから、残業代が出るわけではない

 一般の日系企業にお勤めの方は、上記の残業代の議論に違和感を覚えたかもしれません。

基本的に戦略コンサルティングファーム業界では、残業代が出ないのが普通です。そのため、原則としては、「残業しても残業代は出ない」と考えてください。

 

ただし、アクセンチュアは、「退職した方の労基への告発により、労基から指導が入っている」といった歴史的経緯から、残業代を支払わなくてはならなくなったと聞いています。そのため、管理職未満の方には、約30時間の残業代を払う前提で、給与制度が組まれていると考えてください。

そのため、残業時間を増やしたところで、残業代が増えることは珍しいです。早く仕事を終わらせられるよう、努力しましょう。

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アクセンチュア・ストラテジーと他ファームの”実質的な給与”の違い

ここまで、年俸の話をしてきました。しかし、「給与の額」と聞かれて、単純に「年俸」だけを比較するのはナンセンスです。福利厚生などの様々な理由によって、実質的な可処分所得は大きく異なります。

まず、「マネージャーの職位で、年俸XX万円」と言っても、そこに昇進・到達するまでの年数や、労働時間が異なれば、実質的な給与が違うといえるでしょう。

そして、コンサルティングファームには、節税や事実上の福利厚生に近い様々な制度があり、その内容は、ファームによって大きく異なります。

以下、具体的に見ていきましょう。

 

項目①: 昇進に必要な年数に注意する

例えば、「マネージャーの職位で年収○○万円」という数値だけ見ても、実際の給与を予測するうえでは不十分です。最低でも以下の内容を確認しましょう

  1. A)     マネージャーまでの職位の数はいくつあるか
  2. B)     昇進に必要な標準年数は
  3. C)     スキップ昇進が行われているか
A) マネージャーまでの職位の数

 

まず、大抵の戦略ファームは 、マネージャーまでの職位(一般社員の職位)は2つだけです。しかし、一部のファーム(Bain、Deloitte など)では、3つ以上の職位がある場合もあります。

職位が増えれば、大半の場合、マネージャー到達までの必要年数が増えるため、その分、マネージャーの給与をもらえるまで、時間がかかることになります。

※職位の数は、各社のホームページに記載されている事が多いので、詳細はそちらをご確認ください。

 

B) 昇進に必要な標準年数は

 ファームによって、「正式な人事制度」か「暗黙の了解」といった多少の違いはありますが、基本的には「昇進のための標準年数」が設定されています(この標準年数を超えると、アップorアウトの対象となると考えてください)。

ファームや職位によって、この標準年数が、1.5年~3年程度と開きがあります。これが長いと、マネージャーの給与をもらえるまで、時間がかかることになります。

この年数は、「同じファーム」の「同じ職位」であっても、数年経つと変わってしまうことが少なくないので、詳しくは内部の方にご確認ください。

 

C) スキップ昇進が行われているか

 上記で標準年数の話をしましたが、「標準年数と同じか、標準年数より1年短い程度でしか昇進が行われない」ファームもあれば、「実力さえあれば、1年でどんどんスキップ昇進させる」ファームもあります。

マッキンゼーやベインなどでは、このスキップ昇進が、比較的行われています。

基本的に、小さいファームの方が、スキップ昇進の適用が多い傾向にあります。実力に自信がある方であれば、このようなスキップ昇進が多いファームを選択すると、マネージャーの給与をもらえるまで、短い年数で済むことになります。

よって、入社後の年次による給与を見積もることが大事だと言えます。

 

以上のように、単純に同じ職位で、各ファームの給与を比較するだけというのはナンセンスです。基本的には、「職位の数」&「昇進のための標準年数」を加味することで、入社後の各年次の職位・給与を見積りましょう。

 

アクセンチュアの制度

 まず、ここまで書いた通り、職位の数は少ないです。一方、昇進に必要な標準年数は、シニアマネージャー昇進までは、3年間です。また、スキップに関しては、せいぜい、標準年数が1年短くなる程度です。

※これは、ストラテジーだけでなく、MCやTCも同様と考えてください。

 

項目②: 時給換算で見た給与 

近年の働き方改革によって、労働時間にも差が出てきています。ここまでお話しした通り、コンサルティングファームは、基本的に残業代が出ないので、労働時間が短いファームの方が、時給換算が高くなります。

基本的に、大きい・好調なファームの方が、労働時間が短くなっている傾向にあります(これは、日本支社・日本オフィスの売上が好調であるため、働き方改革に取り組むだけの余裕があるからと考えてください)。

ファーム間の違いもあるが、ファーム内のプロジェクト間の違いの方が大きい

 

しかし、各ファーム間の平均残業時間の違いより、各ファーム内のプロジェクト間の違いの方が、大きいと思われます。つまり、どのファームに入るかも重要ですが、入社したファーム内でプロジェクトをどう選ぶかの方が、残業時間に対する影響が大きいです。

残業時間は、クライアント企業・業界や、上司の考え方に大きく影響されるので、プロジェクト選択をミスしないことが重要です。

対策としては、「同期や先輩から、危険な上司やクライアントの情報を入手し、そのプロジェクトにアサインされることを避ける」ことが重要です。

 

項目③: 有休日数や消化率の違い 

多くのファームは、入社1年目から20日の有休が付与されます。

しかし、アクセンチュアの有休付与日数は、これより少ないです。まず、初年度は12日であり、在籍年数に応じて、年間の有休付与日数が、約1日ずつ増えていきます。

このように、有休日数が、ファームごとに異なることにも注目しましょう。

また、現実的に、有休消化が可能か否かも重要な視点です。基本的に、コンサルティングファームは、プロジェクトの合間を利用することで、有休をほぼ100%消化できるファームが多いです。

しかし、一部のファームは、「社内の雰囲気・文化」や「プロジェクト期間の長さ」から、有休を全て消化できない例が散見されます。

 

項目④: 研修サポート制度の有無

戦略コンサルティングファームには、様々な研修制度が整っている場合が多いです。最も有名なのは、MBAの学費補助ですが、それ以外にも、3か月の語学留学費用を出してくれるファームもあります。

業界では、マッキンゼーが、このような研修制度が非常に充実していることで有名です。

多くの戦略ファームは、MBAの学費補助制度があります。特に、新卒や第2新卒で入社した場合や、小さいファームほど、取得しやすくなるといわれています。

ちなみに、アクセンチュアでは、上記のような学費補助の制度を聞いたことがないです。留学制度自体はあると聞いたことがありますが、少なくとも同僚で留学している人を見たことがないのでサンプルがなく詳細は割愛させていただきます。新たにわかることがあれば追記いたします。

MBAの学費は1000万円以上するので、この学費補助も、実質的な“給与”として、小さくない金額になるでしょう。

 

項目⑤: 夕食代の補助・経費精算 

この項目は、一般の日系企業からすると、信じ難い部分かもしれません。

実は、戦略ファームの中には、夕食代の補助制度があり、夕食代を経費として精算可能なファームが少なからず存在します。

条件は、各社違いがありますが、例えば「夜20時以降まで働いている」「1日1人当たり5000円まで」などです。

 

基本的に、プロジェクトアサイン中は、長時間労働であり、20時以前に帰れることは稀であることを考えると、ほぼ毎日補助が出ることになります。

特に、独身の方は、自炊をする時間的な余裕がないため、夕食も職場近くで外食(orコンビニなどの弁当)であると考えると、この食事代の補助は、換算すると相当な金額を浮かせることになるでしょう。

付け加えると、自腹の場合、税金を引いた後の給与から払うことになります。つまり、実質的な付与額は、5000円に対して、さらに1.5~2倍程度の値となるでしょう。そのため、補助の意味合いだけでなく、節税の意味合いも含む制度といえます。

ちなみに、アクセンチュアには、このような制度はありません(株式会社なので、このような制度を作ることは厳しいと思います

 

項目⑥:会社名義によるマンションの契約 

ここは、節税の話になります。当然ですが、「実家から通う」「家やマンションを購入している」場合を除いて、賃貸を契約される方が多いと思います。

この時、ご自身で契約すると、税金が引かれた後の給与から支払うことになります。

しかし、一部のファームには、会社がいったんマンションを契約し、家賃の実費を給与から差し引く制度があります。

 

一般の日本企業にも社宅制度がありますが、これは、社宅という「決められた場所に住む場合」しか適用されません。一方、この制度は、どのマンションをかりてもOKです。

この場合、税金を引く前の給与から天引きされるため、税金分得をします。どんなに安くても、現実的には月10万円以上の家賃の場所に住むことになるため、節税によって、5万円・10万円の単位で、毎月得をすることになります。

ちなみに、このような節税制度は、小さいコンサルティングファームに存在する傾向にあります。アクセンチュアは、大企業ですので、このような制度はありません。

 

項目⑦: タクシー代の経費精算 

コンサルティングファームでは、タクシーを利用することが多いです。

タクシー利用の理由としては、「終電後まで働いていた」「クライアント先まで、急ぎ・短時間で移動する」といったものです。そして、このタクシー代は、経費として精算されます。

ここからは、若干グレーな話ですが、「仕事後の飲み会の行き返り」などの理由でもタクシーを利用し、それを経費精算しているパターンは少なくありません。

 

このような経費精算がまかり通っている背景には 、「タクシーの領収書には、日付と金額程度しか書いていないため、利用目的が異なるか否かを確認することが難しい」といった現実論はもちろん、「会社や上司が“実質的”に認めている」という側面があります。

会社も“表向き”は、「仕事上、やむを得ない場合のみ」としていますが、現実問題として、多くのコンサルタントが、夜遅くまで長い時間サービス残業をしています。つまり、彼らには時間がありません。

そのため、サービス残業後に、「タクシーで急ぎ飲み会の場所に向かう」ことや、「開始時間の遅い飲み会(注:サービス残業が原因である)が原因で、飲み会の終了が終電後になったため、タクシーで帰る」ことも、間接的に見て“仕事のための合理的な使い方”として、黙認しているということです(なかには、日曜日のタクシー代を経費として付けても、特に指摘されないファームもあります)。

忙しいコンサルタントにとって、移動時間という無駄&疲れる時間をタクシーで緩和し、それを経費で付けることは、良く行われています(中には、まったく電車を使わない人もいます)。

 

アクセンチュアの場合、さすがに日曜日にタクシー代を経費精算すると、指摘のメールが入ります。また、タクシー代は、一部上層部を除いて、月4万円までとなっています。他の戦略ファームは、明確な金額制限がない場合が多いです。

 

まとめ: 年俸以外の様々な項目を見よう 

以上のように、年俸以外の様々な項目によって、“実質的”な給与は変わってきます。

まず、①の昇進にかかる実質年数については、必ずしも業界で同じではないので、注意しましょう。

特に、低い職位の間ほど、ファーム内で昇進年数に差がつきにくいため、そのファームの標準年数を経て昇進する可能性が高くなります。若い人ほど注意してみてください。

③~⑦、特に後半の福利厚生的な部分は、見落としがちなだけでなく、金額的なインパクトも小さくないので、注意しましょう。

戦略ファームは、小さい会社が多いので、個人事業主のごとく、「なんでも経費で精算して、実質給与Upや節税をする」という傾向が見られます。

某ファームでは、節税のために経費で精算(項目に応じて、その分、給与から天引き)しすぎて、管理職クラスでも、見た目上は、新卒並みの給与しか支払われていないという話も聞いています。

アクセンチュアについては、③~⑦の福利厚生的な部分が相当弱いです。株式会社&大企業である以上、この部分が充実することはないと思います。

一方、株式会社&大企業であるため、社内管理を強化せざるを得ないため、②の時給換算の部分は、改善が期待できるかもしれません。

※補足ですが、アクセンチュアの、ストラテジー、MC、TCのどれであっても、上記の7項目はほぼ共通です。

 

アクセンチュアに、転職する際に気をつけることは?

まず、ここまでの章で解説した通り、福利厚生的な内容が乏しいので、年俸に比べて実質給与が低い点には注意しましょう。複数の戦略ファームから内定をもらった場合は、比較検討することになると思いますが、これらの点を考慮してください。

さて、それ以外の注意点を、給与以外の側面も含めて記載しておきます。

 

注意点①: 転職時の割り増し給与は、すぐに償却される 

これは、少し複雑なので、具体例を通した説明が必要です。

アクセンチュアでは、転職するにあたって、「前職」や「他のオファー企業」の給与が高い場合、オファー上の年俸が割り増しされます。

 

例: 100万円割り増ししてオファーをもらった場合は?

 以下、実例で見てみましょう。例えば、ストラテジーの「コンサルタント」としてオファーをもらったとします。その時、“給与制度上の標準年俸”が900万円だったとしましょう。

しかし、前職や他のオファー企業の給与が高い場合、標準年俸より高い金額が提示されることがあります。例えば、アクセンチュアから、100万円割り増しされた、1000万円を提示されたとしましょう。

さて、この場合、その後の昇給はどうなるのでしょうか。一般の日本企業でよくあるような、前年の給与をベースに、評価に応じて毎年給与が上がっていく仕組みであれば、この1000万円に、その昇給分を加えることになります。

つまり、割り増し分の100万円が、ある程度長い期間、残ることになります。

 

しかし、アクセンチュアは、この制度とは異なり、基本的に職位(+職位内の年次)に応じて給与が決まります。ただし、日本の法律上、給与を下げることは難しいため、下がることはありません。

そのため、例えば、マネージャーに昇進した場合、制度上の標準給与(1350万円)と、現状の給与(1000万円)の高い方を適用して、1350万円となります。

決して、「1350万円+100万円」、もしくは「1000万円 + 450万円」といった計算から、1450万円になるわけではありません。つまり、転職による割り増しは完全になくなります。

 

オファー上の割り増しは、数年で完全に償却される

 以上のように、転職時の給与割り増しは、一時的な給与UPと考えてください。

そして、割り増し額にも社内制度上の制限があり、一つ上の職位の給与を超えることは基本的にないため、昇進すれば完全に標準給与になる場合が大半のようです。

なかには、昇進したが、給与がほぼ変化しなかった例もあります(昇進すると、仕事や責任が増えるため、マイナスとも解釈できます)。

 

この点を踏まえて、将来の給与の計画を立てるときは、あくまで将来の役職における、“給与制度上の標準年俸”を見るよう、意識してください。

※ただし、シニアマネージャー以上で転職する場合、そもそも昇進すれば、パートナーになってしまいます。パートナーは、個人の成果報酬の割合が大きく、あまり標準年俸に意味がないため、上記のことを気にする必要はないでしょう。

 

注意点②:人事部のアドバイスに警戒する 

これには、様々なパターンがあります。まずは、給与に大きく影響する、職種(ストラテジー、MCなど)の選択についてです。

 

自主的に他の部署へ希望を変更させようと、人事部が誘導してくる

 まずは、ストラテジーで転職する場合を考えてみましょう。

ストラテジーからオファーが出るパターンには、大きく2種類あります。1つ目は、もちろん「各員の能力の高さ」ですが、2つ目として、「前職の企業としての格や給与が高い場合」や「他のオファー企業の給与が高い場合」も、ストラテジーからのオファーが出る傾向にあります。例えば、以下のような職業の方です。

・競合の戦略ファーム

・総合商社、広告、その他外資系企業

 

しかし、人事部からすると、「給与額を抑えたい」という動機や、ストラテジーの希望者が多いことから「他の職種の採用枠を埋めたい」という動機があります。

そのため、何とかしてMCなどの別の部署へ、配属希望を変更させようとしてきます。

よくあるのが、「ストラテジーの仕事はつまらない」的な、“主観的”なアドバイスを人事担当者が行うことです。

 

例えば、コンサルティング業界では「デューディリジェンス」系のプロジェクトの評判が良くないのですが、その意識を利用して、前職が他の戦略ファームの方に対して、「ストラテジーは、最近デューディリジェンスばかりだよ」といった感じのアドバイスを行い、「MCの方が仕事の質がいいよ」といったことをほのめかし、転職者が自主的にMCを選択するよう誘導するのです。

※ちなみに、アクセンチュアは、デューディリジェンスのプロジェクトが少ないと言われています。

つまり、このアドバイスは「ウソに近い」と思うのですが、アクセンチュアに全くデューディリジェンス・プロジェクトがないわけではないので、客観的に見て「”完全なウソ”とまで言い切れない」でしょう。

このような、「ウソは言っていない」といったレベルのアドバイスが多くなされるので、注意して解釈してください。

 

とりあえず、ストラテジーで入社しておけばよい

 ストラテジーでもオファーが出ているのに、MCで入るメリットはほとんどないです。仮に、入社後に移動したくなった場合、ストラテジーからMCにトランスファーをするのは比較的簡単ですが、逆は難しいです。

そもそも、「仲の良いパートナーやマネージャーがMCとして働いており、入社後にその方がアサイン・面倒を見てくれるという約束」があったうえで、転職の面接を受けていたのであれば、MCを選択するのもありでしょう(同じ所属の上司のプロジェクト以外に入ることは、原則として難しい)。

このような例外的な事情がある方を除いて、一旦ストラテジーで入社すればよいと思われます。

 

被害のパターンは様々存在する

 それ以外についても要注意です。オファー時点では、前職の仕事・経験内容を考慮して、アクセンチュアの産業区分けでいうところの、「PRD(製造流通グループ)」にて、MC(経営コンサルタント)」として入社する約束をしていたはずなのに、入社当日に約束とも前職とも全く関係ない「FS(金融サービス)」のTC(テクノロジーコンサルタント)」として配属されたという被害を、複数聞いています。

 

人事部のアドバイスは、人事部のKPIのためになされていると認識する

 上記の事例は、なぜ起こるのでしょうか。それは、人事部の方々にも採用のノルマ・KPIがあり、それを達成しなければならないからです。

普通の日系企業であれば、上記のようなことをすると、評判が悪くなり、長期的な利益にならないと考える場合も多いと思われます。

 

しかし、アクセンチュアの場合は、やはり転職が多い外資だからか、そのような長期的な考え方の比重は小さいように見受けられます。

以上のように、人事部からすると、彼ら自身の「”今年”の採用KPI」が重要かつ興味があり、転職者のキャリアを気にしているわけではないという視点で、アドバイスを聞いてください。

人事部からのアドバイスには、ノルマを背景とした、裏の意図があると考えて、注意しましょう。

 

被害にあわないためにどうすべきか 

実は、ここに詳細を書くことはできませんが、事情を把握しているアクセンチュア社内の人間であったとしても、様々な側面で人事部による被害にあった経験のある方は少なくありません(そのため、人事部を信用しない方は多いです)。

さて、被害にあわないために、どうするべきでしょうか。ここまでに出てきた転職時のリスクは、主に以下の2点です。

・しれっと、別部署の方が良いかのように、配属先の変更を進めてくる

・入社してみたら、オファー時点で約束していた部署とは異なる職種だった

 

対策①: アドバイスや勧めに対して、即答しない

 まず、人事部など、アクセンチュア側の担当者からのアドバイスは、すべて採用関連のノルマやKPIのためであり、転職者のためではないと、疑ってかかりましょう。

そして、まずは即答を避け、少し考える時間をもらいましょう。そして、「アクセンチュア側」ではない「信頼できるアクセンチュアの知り合いに相談」する、「第3者から客観的な意見をもらう」といった対策と取ったうえで、冷静に判断しましょう。

 

アクセンチュア内部から見ても、こちらから質問した内容に対する回答であれば別ですが、人事部から主体的にもたらされたアドバイスが役に立ったという話を、これまで1度も聞いたことがありません。断る前提で検討するのがベストです。

 

対策②: オファーレターにしっかり条件を書いてもらう

 次に、オファーレターには、しっかりと職種・配属などの条件を書いてもらいましょう。

アクセンチュア社内では、なぜか人事関連の重要な説明が、メールなどの履歴が残る形ではなく、口頭説明で行われる例が散見されます(※「退職勧告」のような内容は、ご丁寧に書面でやり取りされるようです)。

そして、口約束や口頭説明の内容が守られる可能性は低く、後から相違を指摘しても、「微妙な表現のニュアンスの違い」を理由として、「そのような意味ではなかった」と返答されて、無視されることが普通です。

重要な内容は紙に書いてもらうよう、エージェントを経由して依頼しましょう。

それが難しいなどと言われた場合、その部分の口約束は、反故にされるリスクが小さくないと認識してください

上記の2点(「人事部のアドバイス・勧め」や「オファーレター」)の内容判断をするために、信頼できるアクセンチュアの現職やOBの方がいればベストですが、それが難しくても、他者から客観的な意見をもらうだけでも、かなり意義があると思われます。

一度転職してしまうと、「こんなはずではなかった」と思っても、すぐに再度転職するのは難しいです(転職が多すぎると、転職面接時の印象が悪くなります)。くれぐれも、転職に失敗しないよう、注意深く行動してください。

 編集後記:

アクセンチュアの現役社員にご協力を頂き、最新の給与レンジや裏事情について話を伺うことが出来た。アクセンチュアは転職者も多く、転職して成長機会をつかんでいる方が多い会社だ。

 

外資系企業は基本的に会社の平均年収等を公開していない場合が多いので、こういった情報は貴重なのではないかと思う。最近では、毎年のように給与改定が行われているので、現役の社員などから都度、最新の情報を得ることを意識してほしい。

 

アクセンチュアに転職したい方や、他の外資系コンサルティングファームへの転職を考えている方は、直接企業から連絡が来るビズリーチをオススメしている。

 また、未経験転職も含め、アクシスコンサルティングはコンサル転職に強いので、こちらもオススメしている。ビズリーチとあわせて利用してみよう。

 今日は以上だ。

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