20代~30代のキャリアを考えるブログ

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大企業とベンチャー企業を比較してみた

大企業かベンチャーで迷っていますという相談をうける。(そもそもその二軸で迷っている時点でセンス的にどうなのかというツッコミはさておき、)大企業とベンチャーでは何が違うのか、そして意外に違わない部分もあるのではないかということがあるのでぜひご覧になってほしい。

定義

まずはベンチャーと大企業を定義する。ベンチャーは社員数100~900人程度、フェーズとしては上場直前から上場2年未満を想像してほしい。大企業は社員数1万人以上の企業でかつ東証1部上場企業と定義させていただく。

ちなみにHONDAや日産は単体で社員2万人くらいだ。スズキが1.5万人くらいだと思えばなんとなく想像がつくだろうか。より定義を細かくするためにベンチャーはWEB系の原価率が低いビジネスをしている企業、大企業はメーカーとさせていただく。

給料

給料の面からみると20代のうちは大きな差がない。ベンチャー企業は資金調達の環境変化により人材投資が積極的に行われるようになった関係で、給料が昔に比べてかなりアップしている。一方、メーカーはそれほど年収がほとんど昔と変化がない。

企業ごとに違うので比較できないが、ベンチャーであれば初任給は400~500万円程度、大企業メーカーであれば、350万円~400万円程度であろうか。後述するが福利厚生を差し引くと大した差にはならない。

一見、ベンチャーのほうがよくみえるが、ボーナス、残業代なしなので結局変わらないということになる。

一方、30代以降はベンチャーは完全に実力制になってきて、昇進できなければポジションを獲得できない。

ベンチャーは事業部長やマネージャーの数が多くない企業でマネージャー等になれば1,000万円を超えてくるが、昇進できない人は去らざるを得ない。もちろん社員を本当に大切にしている企業は、昇進できなくても会社で働く機会を十分に与えている。

大企業のよい点は、課長もしくはそれに近いポジションまでは一律で昇進でき、最低の給与は保証される点だ。

1万人以上の企業であれば、通常の大卒新卒コースであれば800万円の年収はいくことになる。当然最低800万円程度なので、昇進さえできればもっともらえる。

ただし、日系大企業の社長の給与は1億円いかないのはざらであり、通常の社員と社長の格差があまりなく、昇進しても年収的なうまみがないように感じる。ローリスクローリターンといった印象だ。

ベンチャー企業も役員になったところで高い年収がもらえるわけではないが、30代前半から中盤で役員に昇進すると2,000万程度の年収を手にすることになり、大手にいるよりは早めに多くの年収が手に入る。

ただ、年収だけみるとコンサルや総合商社にいったほうがトータルの実入りはいい。よって、給料を意識してベンチャーで生きていくことはあまり意味がない。(経営者を除く) 

福利厚生

福利厚生については様々なものがあるので大企業だけがいいとは一概にいえない。オフィス内でのドリンクが無料、お菓子やごはんが食べられる、技術本が読めるといった点は最近のベンチャーは力を入れている。

大企業は、人数が多いせいもあるが、フリードリンクや自由に食べることができるお菓子はなかなかない。

一方、家賃補助や寮という観点でいくと大企業のほうがいい。大企業は寮というものが存在し、月1万円で住むことができる。最近は寮もない企業もあり、日々の生活に切迫している若者の話を聞くが。

ベンチャーだとサイバーエージェントのように2駅ルールで、最寄り駅から2駅以内に住めば○○万円の補助が出る会社がある。大体補助は3~5万円なので、年間で30~60万円になる。寮に住めるほうが圧倒的にコスパがいい。

寮の欠点は大企業がある都心から離れていることが多く、大きめの土地を確保するために、23区のはずれや一人暮らしではあまり住まない地域が寮になっている。場合によっては埼玉や千葉から都内へ通わないといけなくなる。寮の安さを享受するために我慢しなければならない部分である。

福利厚生に関しては、気にする人がいるが、たいした額をもらえるわけではないのであまり気にしないようにしよう。それよりも権利として与えられている、有給休暇が消化でき、かつ1週間以上平気で休んでも大丈夫かを気にしておこう。

大企業だと有給買取ということになるが、有給買取なんて全くおいしくないので使えるようにすべきである。

与えられた権利を正当に行使できる企業であってはじめて、福利厚生が充実している企業といえるのだ。建前だけの制度は全く意味がない。

また、土日にやたらイベントに参加させられる企業は良い企業とはいえない。寮に入れても寮のイベントで先輩や同期と土日も過ごさないといけなくなったら苦痛だろう。

周りに同期がいて落ち着くのは、地方に飛ばされた場合だけだろう。

裁量権

裁量権が与えられているのは間違いなくベンチャーだ。大企業でも裁量権はあるという人はいるが、話を聞く限り、ベンチャーのそれには及ばない。ベンチャーは契約のクロージング、細かい詰めや交渉を任されることもあるが、大企業はなんだかんだハンコで色々な人がチェックしてから物事が進む。当然ながら大企業のほうが一回のディールの額が大きいので慎重になるのは当然だ。

ベンチャーは何度もトライアンドエラーをして成長してきているので、失敗を想定したうえで若手にも任せて、というより任せないといけないくらい人が足りず、本当に最後困ったときにのみ社長が出てきてなんとかするものである。

大企業で裁量権があるといって働いている人の多くは、同期との比較で、自分のほうがよいなと思っているので、ベンチャーや外資の裁量権を実感してはじめて裁量権を実感できるはずである。

ただし、大きな額を扱うことや、日経新聞の一面にのる仕事に携わりたいのであれば確実に日系大手にいたほうがいい。最終の意思決定者にはなれないが、一人が担う額は大きいのでやりがいを感じることができるだろう。わずかな人数で数百億円の案件に携わることができたら満足感を得られることは間違いない。

 役職

役職の椅子があらかじめ決まっているのが大企業だ。一方ベンチャーは役職が増えるかもしれないし、減るかもしれないのでよくわからない状況である。大企業は役職が明確に決められており、入社年度に基づいてヒエラルキーが決まっているのでレポートラインや責任の所在がある程度明確になっている。

一方で下っ端は上への報告タイミングや人間関係、組織力学を伺わないといけないので、手間がかかることは間違いない。これに対しベンチャー企業は、組織のサイズから当然ながら社長までのレポートの距離が短く、場合によっては早い段階から社長に直接レポートということになり、充実した形で仕事を進めることができる。

役職が多すぎても意味がないが、昇進している実感をある程度得るためにも役職がたくさんあることは否定しない。 

 年功序列

日系大手企業で年功序列が崩れることはほとんどない。崩れる場合と言っても「役員クラスで最速昇進」というようにかなり後になってからなので若手のうちはほぼ年功序列だ。

ベンチャーは年功序列がまったくない。活躍したらどんどん上がるため、年上の部下ができることも珍しくない。それゆえ反感を買いうまく活躍できない人や、年下の上司が耐えられず辞める人もいるが、実力主義でうまくいっている会社も多く、結果的に優秀な人が活躍する土壌ができている。

ベンチャーは上位5%の人が実力を発揮できる場所で、大企業は上位60%の人が均等に力を発揮できる場所であるといえる。

多くの人は自分が優秀だと思っているが、本当に優秀な人は本当にごく一部であるため実は大企業にいて上位60%にはいっていたほうが幸せであるかもしれない。

離職率

離職率だが、ベンチャーのほうが圧倒的に高い。これは急激な環境変化がおき、その変化についていけない人が発生することや、ベンチャー企業のほうが転職マーケットが大きくあるため次にチャンスをつかめるのでどんどん動こうとする意志が働くことに起因する。また、ベンチャーは売上が横ばいや下がったり、買収されたりといった事情で雰囲気が悪くなり離職が相次ぐこともある。

大企業は良くも悪くも安定しているので離職率が低いまま推移する。最近大企業でも若手の離職率が問題になっている企業があるが、大企業で離職率が高いところは間違いなく良くない企業なので絶対に入らないようにしよう。ベンチャーの離職率が高いときは事情をきいてみよう。一般的に1年で離職率が10%をきるとベンチャーとしてはかなり優れている。大企業では10%になると少し高いだろう。

また、ベンチャーでも離職率が5%を切っていると新陳代謝が起こらないためベンチャーの良さが失われている可能性もある。気を付けてほしい。

社会的地位

大企業の方が確実にモテるし、見知らぬ人から無条件で信頼される。今回の対象としているメーカーではないが、三菱商事ですというのは水戸黄門でいうこの紋所が目に入らぬかに等しい。ベンチャーはどれだけ大きくても、「地位」があるわけではない。

ベンチャーに行くような人でそのような社会的地位を気にしていたら、そもそも行かないほうがいい。社会的地位なんて大したことはないので、無価値だと気づいた瞬間に本当にやりたいことが追求できるようになるはずだ。

海外で働く機会

日本の製造業は海外に活路を見出しているので、大企業のほうが圧倒的に海外で働く機会がある。一方で、ベンチャーでも海外進出を積極的に行うところがある。1年目から新卒を送り込む企業もあるので、早く働くという観点でいくとベンチャーの方がチャンスはある。ただし、絶対数自体が少ないので入る企業とタイミングをしっかり見極めないと難しいことになる。

海外で働くという夢を持っている人がいるだろうが、外資系でも商社でも、大手メーカーでも本当に若いうちから裁量をもって海外で働くことは難しい。この点に関してだけは海外進出をしているベンチャーの良さが目立つ。新卒1,2年目から海外に行っていましたという人に話を聞く機会があったらぜひ詳しく聞き、自分も入社したら同じチャンスをつかむことができる可能性があるかよく調べてほしい。

上場というイベント

ベンチャーは上場という素晴らしいイベントがある。上場はベンチャー経営者にとって1つの節目であり、これまでもっていた紙切れの株式が実際の売買可能な資産になり、一夜にして何十億、何百億を手にすることになる。(実際に経営者がすぐに株式を一気に売却することは不可能に近いが)

大企業はすでに上場しているため、また東証一部であるためマザーズから一部への変更といったイベントすらない。上場しているかどうかを意識することはないだろう。ベンチャーは上場に向けた準備で盛り上がるだろうからそのお祭り気分を味わうのに良いだろう。ただし、上場したからといって末端社員にはさしてメリットはないことを覚えておこう。

株式に関するワナ

ベンチャーではストックオプションが存在するため一獲千金を試みる人がいるが、創業時からいないと数千万単位のリターンはないためストックオプションはあてにならない。それより、大企業で自社株を安く買えるほうが得である。大企業の株は下がる事もなく、また取得価格が安くはいれば、すぐに売却して利益を得ることすら可能だ。

ストックオプションは諸々の制限から自由にすぐ現金になるわけではないので注意しておこう。また、経営に近い形で携わっている人が自社の株を手放すのは市場から見ると不審に思われ会社に悪影響をおよぼすことがあるのでベンチャーの株式はあまり良いわけでもなく、すでに上場していて徐々に成長している大企業の株をゲットできるほうがよいのではと個人的に感じる。

大企業とベンチャーで比較するのはやめよう

さてここまで様々論じたが、大企業とベンチャーで比較するのはやめたほうがいい。大企業とベンチャーはまったく違うところで、軸があまりにも違いすぎるので直感でどっちが向いているか判断しよう。考えたうえでベンチャーとなったらリスクがそれなりにあるのでそのリスクを精査して自分が受け入れられるものかをチェックしてほしい。

また、迷ったなら大企業に行くことをお勧めする。というのも、三菱商事かベンチャーで悩んでいますと言って、本当にベンチャーに新卒で行った人は見たことがない。大企業ださいといっていながら最後に大企業に行く自分をうまく飾りたくて、最後にベンチャーも迷っていますと言っているようにしか聞こえない。素直に大企業にいったほうがよいだろう。

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大企業からベンチャー

転職だが、大企業からベンチャーに行く場合は、比較すると諸々の条件が悪くなるかもしれないので当記事で上げた内容を検討しよう。転職の際はベンチャーに行きたい場合、早めにいったほうがいいので、できるだけ多くの人に会おう。

ベンチャーから大企業

ベンチャーから大企業の流れもできている。若くて高学歴であれば大企業が採用してくれ、ワークライフバランスが大事だったと気づいたベンチャー社員が大企業に流れ楽しい生活を送っている。

ベンチャーで働いた経験を持って大企業にいくのはストレスがたまる部分もあるが、働くスタイルの部分では大企業でも生かせる部分があるので、これまでの経験を生かし、転職にチャレンジしてほしい。

比較をもっとしたい方へ

先ほど大企業とベンチャーを比較するなとはいったが、もし大企業とベンチャーを比較したい場合はビズリーチに登録しよう。求人票をみたらベンチャーと大企業がそろっているので比較しやすい。ビズリーチは特にベンチャーの中でも優れた企業が多いのでぜひ使ってほしい。

大企業をもっと見たければリクルートが運営しているキャリアカーバーがおすすめである。リクルートのネットワークを生かした良い大企業に出会うことができる。様々なものを見比べて意思決定に活かしてほしい。

 

今日は以上だ。