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デロイトトーマツコンサルティング(DTC)の戦略からオペレーション業務まで現役社員が解説「嫌なことは嫌と言え」

[BIG4の一角であるデロイトトーマツコンサルティング(DTC)。多くのコンサルタントを抱えているコンサルティング会社であり世界各国で就職先の人気ランキング上位にあがってくる企業である。今回は、デロイトトーマツコンサルティングの現役コンサルタントが実際に経験した戦略案件やオペレーションプロジェクトの内容、また力をいれているCSVについても解説していただいた。労働時間についても言及してあります。コンサルへの転職者は必見だ。

官民連携への想いからコンサルタントへ

-コンサルタントになった理由を教えてください。

学生時代、公共政策を専攻していたこともあり、政策や世の中の仕組み作りに興味を持っていました。特に、政府や官僚等パブリック側の制度設計だけではなく、ビジネスとパブリックが協力しあうことに、より関心を持っていました。

大学院の時に留学した米国では官と民の協力が盛んで、民側がプロアクティブに政策や世の中の仕組み作りに関与していて、日本でもこうした動きができれば、より経済の活性化に貢献できるのではないかと考えていました。

 

ビジネスの優れた仕組みをパブリックに活かし、ビジネスの立場から競争力を高められるルール作りを提案することで、経済を活性化させて世の中に貢献したいという想いがありました。

日本でそうしたロールを担えるプレーヤーを考えたときに、コンサルティング業界があるなと思い、コンサルティング会社への就職を決めました。

-その中でデロイトトーマツコンサルティングを就職先に選んだのはどうしてでしょうか?

ファームとしての取り組みにフィット感を感じたからです。私が就職活動をした当時、米国のDeloitteは「第二の政府」(つまり政府と肩を並べて、政策や仕組み作りにインパクトを出せる存在になること)を目指そうというスローガンを掲げていました。

ビジネスの立場から政策立案やルールメイキングに影響を与えられるポジションに魅力を感じ、デロイトに入社を決めました。

 

実際Deloitteの日本法人であるDTC(デロイトトーマツコンサルティング)でも官と民の協力や、民の立場からのルール形成等、ユニークなプロジェクトに会社として力を入れていました。

また人材の観点からみても、国際機関や中央官庁等のパブリックセクターからデロイトに転職してきてパートナーになっている人もいるので可能性を感じました。

-担当したプロジェクトを教えてください。

企業から政府機関まで多様なクライアントの上流から下流まで幅広い経営課題を経験してきました。事業戦略・企業戦略策定にはじまり、需要予測・サプライチェーン改善のような業務コンサルティング、そしてシステム統合、ITシステムの導入といった実行支援まで幅広いプロジェクトに関与しました。

商社関連のグローバルな戦略プロジェクトに従事

-戦略プロジェクトはどのようなプロジェクトを担当したのでしょうか。

戦略という観点だと、総合商社の東南アジア市場での事業戦略策定を行いました。具体的には、どの地域、どの国に進出して何をしたらいいかというかなり上流の部分について検討を行いました。

進出する国と事業を決めるために3つの軸から分析を行いました。

 

1点目は経済性です。選択肢となる対象国のマクロトレンドを見ます。例えばGDPや経済成長率や金利の動向です。マクロ経済の観点から国の経済の将来性について判断を行います。

2点目は国の政策や制度です。産業支援策・産業規制・税制・金融規制等の現状とトレンドを観察します。

3点目はクライアント会社のアセットです。総合商社はご存知の通りたくさんの事業を展開しています。そこでそれぞれの事業がどう収益をあげているかはわからないので、事業×国という二軸のマトリクスで既存事業の規模・収益性等の推移を整理します。

こうした分析を踏まえ、最終的に対象国と事業の方向性を絞っていきました。

-調査系のタスクが多く英語を用いる機会が多そうですね。

そうですね。英語を比較的使って行うプロジェクトでした。基本的にリサーチは英語で行い、上記3つの軸のうち自分が担当した経済と政策の観点について、海外のレポートや各国の国際機関等が公表する経済統計資料を見たり、現地政府の統計局に直接コンタクトを取ってデータ収集をしました。

また、Deloitteの東南アジア地域現地オフィスにいるパートナーやマネージャーの方と一緒に協力して仕事をしました。

最近ではCSVといった社会性のある領域にも注力

-戦略関係の仕事で他に印象的だった仕事はありますか?

デロイトはCSV (Creating Shared Value)にも力をいれています。一般にCSR(Corporate Social Responsibility)は企業の社会貢献的な活動を指し、いわば企業の本業のおまけのような活動になりますが、CSVでは社会的課題を解決することをビジネスとして、成り立たせ、企業の収益と社会への正のインパクトを両立させようという発想になります。

 

プロジェクトのテーマとしては、クライアント自社製品の一部が適切に廃棄されておらず、製造者として環境に悪影響を与えているという課題感があり、その問題解決をビジネスにできないかというものでした。

廃棄物を再利用し、新たな資源として利用するリサイクルの仕組みをどのように事業化するかを検討しました。

廃棄物が特に多い国をターゲットに特定した上で、現地でのリサイクル事業の可能性について考察しました。まず、国内で廃棄物が発生する場所や量を調査しました。現地企業にヒアリングやテレカンを行い、情報収集をしていきました。

 

私はプロジェクトにアサインされて数日のタイミングで、現地企業との電話インタビューの議事録作成を担当しました。

笑い話ですが、対応いただいた電話相手がかなりインド訛りの強い英語を話す方で、なお且つ非常に技術的で専門性の高い内容であったため、聞き取りにかなり苦労しました。

プロジェクトメンバーにアメリカ人がいたので内容を再確認してみたのですが、英語ネイティブのアメリカ人ですら、インド訛りが強すぎて内容を理解できず、一同で苦戦しましたね(笑)

 

グローバルな範囲でリサイクル技術の調査も行いました。世界各国の政府・企業・研究機関・大学等数十組織に調査をかけて、リサイクル技術を有するプレーヤーを洗い出していきました。

その上で、各技術のメカニズム・処理能力・コストを、比較できるロジックで整理して最適な方法を提案してきました。

多国籍のチームメンバー(アメリカ人・ロシア人等)で、世界各国とのやり取りがあったのでグローバルな仕事というのをある程度体感することができました。

戦略プロジェクトの他、オペレーション関連のプロジェクトも経験

-オペレーションやサプライチェーンに関わる業務コンサルよりの仕事はどのようなことをしましたか?

政府をクライアントにしたプロジェクトに携わりました。守秘義務が厳しいので詳細はお話できないのですが、防衛関連の機材のサプライチェーン改善に関わるプロジェクトでした。

クライアントへのヒアリングベースで集めた現在の部品調達オペレーションの様子や現場の課題感についての定性データと、部品の調達量や需要予測等の定量データの2つをインプットとして、課題の特定と改善提案のための分析を行いました。専門的な統計ソフトを用いたシミュレーションに基づいて、最適な需要量等を導出しました。

 

冒頭で官と民の協業への関心について触れましたが、航空防衛産業はまさにビジネスの優れた仕組みをパブリック側にもうまく応用することができる良い例ではないかと思います。

航空防衛産業は海外では市場規模が大きい産業で、航空企業(例:ボーイング)の他、日本だと余り馴染みがないかもしれませんが、戦艦、戦闘機やレーダー等を製造している所謂軍需企業(例:ロッキード)等が主要プレーヤーで、在庫管理や需要予測等について先進的なソリューションを持っています。

今回のプロジェクトでもこれらの企業のソリューションや手法をベンチマークに改善策を考えることもありました。

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実行支援プロジェクトまで幅広く経験

-実行支援の仕事もされたということですがいかがでしたか?

製薬会社のプロジェクトでした。テーマとしては日本の製薬会社が買収した海外の製薬企業と異なるシステムを用いており、業務効率化のために新システムに統合しようというプロジェクトでした。すでに前のフェーズで導入するシステムの選定は完了していたので、導入に向けた実行支援をおこないました。所謂PMO(Project Management Office)のプロジェクトでしたね。

 

日本本社・米国支社・システムベンダーを巻き込んでミーティングを開き、システムの使い方の説明デモを行い、日米双方のユーザーの要望をまとめ、システムに機能を付加して最適な形にカスタマイズしたり、規制当局に提出するシステム関連文書の作成を行いました。

-戦略関連に比べて楽しい様子を受けませんがいかがでしたか。

正直自身の関心やジョブの内容を踏まえると戦略案件の方がフィット感はありましたね。ただしそれまでのプロジェクトで求められてきたスキルセットとは異なる部分が求められたので、成長機会という点では恵まれたプロジェクトだったと思います。

具体的に言うと、それまではリサーチや定性/定量分析力・仮説構築/検証能力等が求められたのに対し、このプロジェクトでは進捗・スケジュール管理力、現場でのクライアントフェイシング能力、現場の状況変化に対応できる柔軟性等、当時私が成長課題としていた部分が重要になりました。

 

また、相手はアメリカの現地企業なので、ネイティブのビジネスパーソンを相手に定期的なファシリテーションやミーティングのマネジメントをさせて頂けたことはとても良い経験になりました。

余談ですが、製薬業界は収益の大きい業界だからなのか、チームにつく予算も比較的潤沢で、チームで高級なご飯を食べることができました(笑)

コンサルティングファームの労働環境

-労働時間はいかがでしたか?

アサインされるプロジェクト次第です。

戦略案件は忙しかったですね。深夜0時を過ぎるのは当たり前で、だいたい深夜1~2時頃に帰っていました。タクシー帰宅が連日続いた結果、運転手と知り合いになってしまったりもしました(笑)

政府関係のプロジェクトは比較的早く帰ることのできるプロジェクトで、基本的には20時くらいには帰宅していました。

官庁関連の案件は3月終わりのようにプロジェクトの締めが決まっているので、タスクスケジュールを想定しやすいプロジェクトでした。

 

プロジェクトをリードしたマネージャーも仕事のコントロールが上手い方だったので、それもかなり大きいと思います。良いマネージャーとチームメンバーに恵まれるのは幸運です。 

製薬会社のプロジェクトのように、テレカンベースのグローバルプロジェクトでカウンターパート所在国の時差が大きい場合は大変です。

アメリカとはテレカンを早朝や深夜に行い、日本のクライアントとは日中にミーティングを行うことになるので、早朝から深夜まで勤務することになりました。

ただしテレカンは自宅からも参加できるので、早朝・深夜は出社せずにリモート参加することもありました。 

-コンサルタントをしていてつらかったことはありましたか?

人間関係でつらいことがありました。過去にパワハラで問題になったことのある人がリードするプロジェクトについた際はダウンしかけましたね。

仕事とは関係のない部分で、人格そのものを否定されたり、追い詰めるような発言が続いた際には精神的に堪えました。労働時間もかなり長かったので、肉体的にも疲弊しました。

チームメンバーも上司からの電話恐怖症のような状態になっていました。かなりのマイクロマネジメントで、食事でオフィスを数十分離れているだけでも早く戻ってこいと呼びだされることもありました。

 

このように、大変な人に当たることもあるわけですが、コンサルのいいところは嫌だと思ったら離れることができることだと思います。

メンバーやクライアントとの相性が合わない場合、プロジェクトからリリースされることが多いですので、無理して働かなくても大丈夫なのです。

もちろん、時に忍耐も必要ですが、結果としてマネージャー、スタッフ、クライアント皆にとって早期に離れることが最適解のこともあると思いますので、問題を抱えている場合は、可能な限り早めに相談した方がいいと思います。

 

一般的にですが、事業会社では、同じ部署で年単位でローテーションがあると聞いているので、それに比べるとフィットしない場合のアクションは容易なのではないかと思います。

パワハラや差別等何かしらの不遇な扱いを受けた際には、勇気をもって声を上げることが大切かと思います。

360度評価等何かしらの対処がありますので、会社をこちらが辞めるようなことにはなりませんし、不適切な人材がいることを会社側に伝えることは結果として組織とクライアントのためにもなります。

 

もちろん声を上げる代償として、そのマネージャーの評価やプロジェクト機会に影響がある可能性もありますが、プロジェクトもマネージャーもたくさんいますので時には縁がなかったと割り切ることも必要です。

なお、ちょうど私がパワハラ上司に当たり体調を崩していた時、電通社員の自殺事件がマスコミで取り上げられたのを見たこともあり、他人事とは思えませんでした。

以降、「嫌なことは嫌」、「おかしいと思うことはおかしい」と声を上げる勇気を持とうと思いました。

経営コンサルタントとしてどんな困難な状況でも責任を持ちクライアントにコミットするというプロフェッショナリズムを持ちつつも、一方で仕事をする前提として自分の心や体の状態を尊重するバランスが重要であると思います。

-ありがとうございました。プロジェクトの概要やコンサルとして理不尽な場面まで大変参考になりました。

編集後記

BIG4の一角であるデロイトトーマツコンサルティングの現役コンサルタントの方に、インタビューを実施した。総合コンサルらしく幅広い業務フィールドで活躍されている印象を受けた。

実際のプロジェクトの具体的な内容や、進め方等、コンサルティングファームに就職を考えている方には、非常に参考になる内容なのではないかと感じた。

 

デロイトトーマツコンサルティングをはじめとした、コンサルティングファームへの転職を考えている人は、まずビズリーチへ登録してほしい。

コンサル未経験者の転職にはアクシスコンサルティングがおすすめだ。

今日は以上だ。