20代~30代のキャリアを考えるブログ

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外資コンサル社員に活躍するために必要なことを聞いてきた

若手の外資系コンサル社員にプロジェクト中の様子や活躍するために必要なことを聞いた。1人前のコンサルタントとして活躍するために何が必要なのか、苦悩した点は何だったのだろうか。コンサルとして1人前になるための過程がすべて描かれている。(注)かなり長いのでお時間あるときにぜひ。

テニス漬けの日々からコンサルへ

- 自己紹介をしていただいてよろしいですか。

都内の大学を卒業後、Big4系の外資系コンサルティングファームに就職しました。現在はプレディール(M&A戦略、BDD等)からポストディール(PMI戦略、実行支援等)までM&A領域を扱うチームに所属しています。

大学時代はテニスをしていて周りはコンサルに行くような人がいなく、また意識高い人もほとんどいませんでした。

サマーインターンも周りに比べるとやや出遅れていた状況でした。最初からコンサルに行きたかったわけではなく、優秀な人がいて様々な業界を見れるということでコンサルティング業界を志望するようになりました。

-学生時代は何をしていたのでしょうか?

基本的にはちゃらんぽらんだったのですが、真面目な活動でいくと内定獲得後にとあるベンチャーで働いていていました。その経験は今でも生きています。インターンをしていて良かった点はコンサルぽくいうと3つあります。

1点目は優秀な社員と優秀な同期のインターンに出会えたことです。

テニサーだけだとなかなか出会えなかった人たちばかりでした。頭がいいだけではなく、自分の中でウィルをもっていて刺激を受けました。一緒にインターンをしていた仲間はほとんどが外資系企業の内定者だったので切磋琢磨できました。

2点目はビジネスそのものに触れることができたことですね。ほんの少しでも売り上げを立てることがこれほど難しいことなのかと痛感させられました。

サービスを作っていきましたが、ユーザーはきまぐれで自分の思うような行動をとってくれませんでした。また、新規事業も担当しゼロからプロダクトを作り上げるのに苦労しました。データベース設計もしましたね。実際の売上になるところまでやるのは面白かったです。

3つ目は実務面のスキルを磨けたことですね。資料の作り方、MTGの設定から進め方、検討内容のまとめ方や次のステップの整理等、ベーシックな仕事のスキルを学べました。
エクセルのシート、パワーポイントの作り方などは社会人になる前に身につけられたので、入社してから全く困りませんでした。(むしろすごく使える方になりました)

外資系コンサルといえども、基本的な仕事を進めるスキルが不足している人というのは結構います。モノを考えることはできても、MTGのロジ回り、進め方、参加する人の決定、検討論点の用意等、インターンを通して仕事の進め方を学んだのは大きかったですね。

後、思い出としては、新規事業にアサインされたのですが、責任者だった社員のプロジェクトマネージャーが辞めて、インターン生と開発者と二人でサービスを出す必要がありました。開発者の人がクセが強かったこともあって、苦労しました。

ムチャぶりはなかったのですが、一言一言が重く突き刺さるフィードバックばかりで勉強になりましたが心が折れそうになることもありました。学生の枠を超えてプロダクト開発に携わることができたのが大きかったと思います。

その開発者の方は途中から事業開発も兼ねて奮闘していましたが、学生の私の意見を聞き入れでいました。誰が言ったかではなく何を言ったかで判断した人だったので参考になりました。今でも、立場ではなく何を言ったかは意識しているのでその開発者の方から学んだことは大きかったです。

-就職活動は順調にいったのでしょうか?

ベンチャーと外資コンサルに途中からしぼり、複数企業から内定を獲得することができました。ベンチャーへの入社も考えたのですが、コンサルの方がなんとなくかっこよく感じたのとより成長できそうだったので、現在のBig4系のコンサルティングファーム社に入社することにしました。

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若手コンサルが事業会社のエース社員と1:1で真剣勝負

-入社後はどのようなプロジェクトを担当したのでしょうか?

複数の戦略立案にかかわりました。金融、物流、BtoB系企業、BtoC系企業等を担当しました。プロジェクトの内容もpost M&A(PMI)、IT戦略、新規事業立案と色々とやりました。

たまに客先に行く感じであとは会社のオフィスにこもってずっと考えて、チームで一つの目標に向かってがんばっています。

-特に印象に残っているプロジェクトはありましたか?

新規事業のプロジェクトは印象に残っていますね。新規事業の取り組みというのはあまりコンサルを目指している方、ひいてはコンサルタントの方でも耳にすることが少ないかもしれません。

私の担当クライアントの会社自体が新規事業の取り組みがあまり多くなかったため、新規事業のプロジェクトが立ち上がった時にクライアントのエース級の社員がプロジェクトに参画しました。

その会社のエース社員と1:1で収支計画やビジネスプラン立案をやりました。エースだけあって優秀で勉強になることも多かったです。そのため印象に残っています。

大企業の優秀な方と話している中で、日本をどう変えるのかという視座、ビジョンが感じられたので学ぶことが多く、高い視座を垣間見ることができました。

またビジネスは単なる金儲けではなく、世の中のために展開するといった、事業を何のためにやるのかというのを考えさせられましたね。

時価総額トップクラスの大企業の役員と毎日のように議論を交わしていると、自分の価値観が大きく変わっていくことを実感することができました。

また、新規事業では、どういうビジネスを立ち上げるか、そしてその立ち上げたものを、どうやって売っていくかというimprement(実行)まで行います。通常コンサルティング会社は上流の戦略立案だけやるので、コンサルが最初から最後までやる機会は限られています。

もちろんお客さんが実行するための手が足りないということでコンサル側が入って、実行までやっているというのもありますが、最初のフェースで立てた描いていた絵(戦略)が評価がされたため実行までできることになりました。

新規事業は余計な口出しが多く進まない

-新規事業はコンサルの中でも難しいテーマのように思いますが。

新規事業の難しさはクライアント内における意思決定の部分にあります。どうやって物事を意思決定するのか、決まった事項をどうやって進めていくのか難しいんですよね。

日本の会社はオーナーシップがどこにあるかわからないことが発生し、一つの物事を決めるのに様々な部門が口出してきます。

各部門を納得させて物事を前進させないといけないのですが、全員を巻き込むのが難しかったんですよね。

-コンサルが会社の各部門を巻き込むのは難しいのではないでしょうか。

その通りです。コンサルがみんなを巻き込むのは難しいので、プロジェクトをまとめるにあたって、矢面(やおもて)に立つのは良くないとされています。その会社のプロジェクトリーダーがリーダーシップを発揮し巻き込んでいかないといけません。

新規事業を立ち上げる際に、コンサルを雇っている会社のグループ会社を巻き込むため、元々関係なかったグループ会社からすると、なんでコンサルがいてプロジェクトを取り仕切っているのだと不満が沸き上がります。

グループ会社や他部門との関係が良くないと新規事業がクライアント側でスタックしてしまいがちです。大企業だと先述の通りいろんな部門が口出しし決定に協力的でないので、腰が重たくなってしまいます。

大企業って、人的リソースやお金等のアセットがあるのでなんでもできそうですが、関わっている人を動かすことができないんですよね。

大企業の失敗の原因って結局そこにあるのかなって思います。色々な制約があり、まわりの部署が止めようとしてくることが原因です。

また、新規事業は関わっている人数がスモールなので、役員クラスからトップダウンでチームを動かすことが難しいです。関係部署をうまく動かすために根回しが大事な世界です。

コンサルタントとして入ったものの成果が出なかったプロジェクト

-新規事業以外で印象的だったプロジェクトはありましたか?

PMI(Post Merger Integration)は学びが多いプロジェクトでした。金融会社同士の垂直M&AのPMIを担当しました。

垂直M&Aで力のある会社が、小さい規模の会社を買収したのですが、世間的には対等合併ということを打ち出していたので、コンフリクトが発生し、組織の力関係が微妙で難しかったです。

-どうやって難しい状況を解消をしたのか?

たまたま買収側から被買収側に元々出向した人がいたので、その人を軸にPMIを進めて、両社のバランスを保つように試みました。結果としてシナジーが出る形で会社がまとまったとは言えないのが現状ですね。

オペレーショナルな統合という意味で、最初のPMIの最低限の役割は果たすことができましたがお客さんが支払ってくれた対価以上のバリューを出せたかというと、そうとは言えないプロジェクトでした。

事実、途中のフェーズまで終わったあとにさらにもう1フェーズさらに深入りしたPMIの段階があったのですが途中で契約を打ち切られることになりました。

コンサルを入れても結果がでないので自社だけでなんとかやるという結論にお客さんのほうでなったそうです。

このプロジェクトは自分のバリューを出せないプロジェクトとして終わりました。チームとしてもずっとお通夜が続いているようなプロジェクトでしたね。やはり、結果がでないとギスギスしたプロジェクトになりますよね。

コンサルタントとしてひよっこだったので、何もできずに終わり、悔しい気持ちを味わいました。

-活躍できなかったということでしょうか?

そうですね。案件の性質的に会社が1つにどのように統合していくかをお客さんが議論していくことの交通整理をしてあげることだったことも影響しています。

コンサル側で考えたり資料を作ったりするわけではなく、ファシリテーターや議論を整理することが目的でコンサルが入っていて、その中でも若手の仕事は議事録や進捗管理だったので、与えられた以上のことはできませんでした。

今振り返ってみると、あの状況下でも、コンサルタントとしてやるべきことを見つけていく人こそが真のコンサルタントなのかもしれませんが。

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評価を上げるには配属されるプロジェクトが大事

-活躍できなかったお話を聞きましたが、全体的にコンサルタントとして評価されていると聞きましたが他のプロジェクトではなぜ評価されたのでしょうか?

議論の整理はもちろんですが、議論をするために検討するための土台となる案を自分から提案し、お客さんに持っていき、話すことができたからでしょうか。

新規事業のときはうまくいったのですが、プロジェクトを進めるにあたってコンサルタント主導で新規事業の立ち上げを進めることができました。

コンサルとしてもっとも大事な点である、「論点出し」を若手だった私でも参加することができました。論点出しのみならず、必要な項目のリサーチ、お客さんに出す提案書作成、さらにはプロジェクトの議論のリードまでできていたので評価は良かったです。

議論の交通整理をするだけでは出せるバリューが少ないのに比べて、新規事業のプロジェクトのときのように関われる役割が広くなり、アウトプットまで出すと評価されやすくなる傾向はあります。

-プロジェクトの配属が評価にも関わってくるように感じます。プロジェクトの配属はどのように決まるのでしょうか?

プロジェクトの配属は、基本的に上の役職の人に指示されたところに配属されます。もちろん制度上は選ぶことはできますが基本的には指示されたところに入るしかないのが現状です。

-それではだいぶ運任せになってしまうのでしょうか。

もちろん最初からバリューが出せるプロジェクトや私が希望するプロジェクトお客さんの雑用をした後だったので、自分が希望するおもしろそうなプロジェクトを担当しているマネージャーのところに相談に行きました。

オフィシャルにどのような分野/プロジェクトに興味があるかを会社に伝える場はありますが、最初の段階でその希望がかなえられることは少ないことが分かったので、やりたいプロジェクトがあったらマネージャーに直接言いにいきました。社内政治とも思われれますが自分を売り込むことは大事ですね。

マネージャー同士の間で紹介される

-マネージャーにお願いしたからといってかなうわけでもなさそうですがどのようにしたら希望のプロジェクトに入れるのでしょうか?

社内での評判を上げておくことが大事ですね。あいつは仕事ができる奴だと思われておくとよいでしょう。そのため配属された最初のプロジェクトや、ふとした研修のときにしっかりと目立っておくことが大事でしたね。

1度評価がよくなると、あるマネージャーが別のマネージャーに紹介してもらえるようになります。

こいつなら紹介しても問題ないだろうと思われると色々な人とつながれるようになります。

-評価が悪い人もいますか?

そうですね。評価悪かった人も実際いて、その人は最初のプロジェクトや、初期の段階で悪い評判が出回って、プロジェクトにアサインされなくなってしまいます。

実力はあったのに管轄しているマネージャーとただ相性が悪かったというだけの可能性がありますが、最初に悪い評判が広まると、次に使うマネージャーがアサインしづらくなるのは事実ですので最初になんとかがんばるしかないです。

一般的に言われることですが後から自分の評判を挽回するのは難しいですね。

また、最初に評判をあげておくことは配属以外にも重要なことがあるように思います。相手から期待されていないから、この程度でOKかなと思ってアウトプットを出すようになることが自分の成長を止めてしまうため良くないことだと考えます。

最初に良い評判がつくと、その評判通りの成果を出さないといけないと思うようになり、これまで以上にがんばらないと感じて、プロジェクト中に必死にもがくようになります。

もっている実力以上に頑張れるという意味で、評判を良くして自分の期待値を上げておくことは成長につながりますね。抽象的ですが評判が実力よりも先行しておくとそれに追いつこうとするという点において評判が良いということは大事だと思います。

何より働いていて感じたのは、伸びない人は評価を周りが決める前に自分で規定してしまっている印象を受けました。

これまでの評価が悪いと感じると自分自身への期待値も低くなり、自分の能力は低いんだなと勝手に自分で規定してしまっています。

評判が良い人は、実力以上に評判が先行してしまっても、実力以上のプラスアルファの評判をクリアするために目に見えないところで一生懸命努力している人が多いですね。自分のファームの人を見てても、ほかの戦略ファームの人を見ててもそのように思います。

評判は社内外で先行しがちなので評判をコントロールすることはコンサルタントにとっては必須のスキルですね。

コンサルタント派遣ビジネスも存在

-実際にはみんなおもしろいプロジェクトをやろうとするのではないでしょうか?

コンサルタントによっては、単純作業だけやってしまう人もいます。お客さんの人手不足を解消する目的でアサインされる人もいるんですよね。

単純作業をする人員としてお客さんのところに派遣されもくもくと作業をする人は単純作業で満足してしまっていますね。

コンサルタントを派遣することは会社としてはお金は儲かるが、ご想像の通りつまらないです。

しかし、自分がコンサルタントの会社経営者であれば安定した利益をだすために「つまらない」プロジェクトをやることも大事だとは思うのでつまらない単純プロジェクトをやることは否定しません。

ただ、単純作業のプロジェクトばかりしている人は昇進できないし、1プレイヤーとしてずっと働くことになるのでマネジメントも任せれないので考え物でしょう。

-労働時間はどれくらいなのでしょうか?プロジェクトごとに違うとコンサルの方は回答していつも参考にならないので詳しく教えてください。プロジェクトの性質で労働時間が変わるかなど聞きたいですね。

そうですね、戦略立案をするプランニング案件は、主導権はコンサルにあります。コンサルが主導するということは、お客さんのために、プロジェクトのスケジュールをひいてあげて、議論をするための論点だしをするので、プロジェクトを進行するためのほとんどの道筋をコンサルが作ります。

そのためにお客さんのことを理解しないといけずヒアリングをしないといけないですよね。ヒアリングを含め行っていると、準備が必要になってきます。結果として働時間が長くなる構造です。

実際、コンサルに主導権があった新規事業の立案のときも帰宅時間は大体22時~深夜1時くらいの間でした。平均して日付前に会社を出ているイメージですね。

もし少しでもプロジェクトが燃えたら日付が変わる前に帰れることはないです。逆に忙しいタイミングを超えると22時には帰れていました。

しかし、その帰宅時間はお客さんの期待値マネジメントがうまくできてその時間だったので、もし上司が微妙なレベルでできない人のときは毎日朝帰りの人もいます。

幸運なことにこれまで私はお客さんの期待値マネジメントという観点で悪い上司にあたったことがいまだないので、早い時間で日付変わる前に帰れていました。

なのでこの場合、プロジェクトというか上司次第ですよね。

一方、プロジェクトの主導権がクライアントにあるときは早いです。派遣に近い形で労働力を貸してあげるだけのときは言われた作業をするときなので楽です。18時~19時に帰れることもざらです。

さてここで気づいたかもしれませんが、主導権がお客さんにある、つまりコンサルとしての仕事が面白くないと早く帰れて、コンサルとして楽しいプロジェクトを担当すると労働時間が長くなるんです。働いている時間が長時間な人はチャレンジングなことをしたがっている傾向にあると思います。

CXOクラスとの仕事が最も大変

-労働力を貸すというのは少し驚きなのですが当たりまえのように行われるのですか?

人貸しは結構やっていますね。会社としてやっているところも多くコンサルティング業界の流れとなっています。

例えば、ボストンコンサルティングループ(BCG)、デロイトトーマツコンサルティング(DTC)、PwC、アクセンチュア等は人を増やしてオペレーショナルな案件を増やしていますしね。

プロジェクトの性質によるのに加えて、お客さんの要求水準で変わってきます。自動車のような日本の根幹産業ともいうべき業界を担ってきた人は要求水準も高く、知見も非常にあります。

そんな彼らとプロジェクトで自動車の議論を対等にするためには図書館の本1個くらい読んで挑まないといけないですね。

インプットを十分にしたうえで、コンサルタント内で議論して、もっていった資料もぼっこぼっこにつめられれながらすすめていきます。当然ながらハードなプロジェクトになります。ですがコンサル冥利に尽きる仕事です。

仕事相手が、会社の社長もしくは、それに近いポジションの人だとコンサルタントへの要求水準も高くなりがちです。

一方、部長、課長クラスだったら社長に比べると知見もないので、1コンサルタントでもなんとか対峙できます。働いて感じたのは、何兆円企業のCXOクラスの人たちは本当にすごいということですね。

さて、これまでの話を整理すると、上司、プロジェクトの内容、クライアントの要求水準によって労働時間が変わってきます。

戦略立案業務に近くて、仕事をする相手がマネジメント層(CXOクラス)にちかくて、かつ基幹産業で、さらに自分の上司が無能だと労働時間が長くなります。あ、上司が仮に優秀だとしても今の条件がそろうと厳しいですね。

労働時間への影響が大きい順だと、プロジェクトの性質(戦略立案かどうか)、そしてお客さんの担当者のポジション、その次が上司の優秀さによりますね。

要求水準が高くないプロジェクトって問題なく楽に終えることはできます。でも私は厳しいプロジェクトのほうが成長できるいいと思います。

また、一般的に、活躍している人は自動車業界や日本が強い領域のメーカーなどの基幹産業のPJを任されがちではあります。

コンサルタントを労働力として派遣するプロジェクトはお客さんの予算が大きく、コンサルティング会社が儲かるので、何十人もコンサルタントをつっこむ方が合理的といえば合理的ですね。

1年で10人以上が体調を崩す

-体調を崩す人はいるのでしょうか。

知っている限りで1年に2桁人は体調を壊しています。体調を壊す人は、そのまま辞める人もいれば、復帰する人もいます。3か月程度休職して戻った人もいました。

プロジェクトがあまりにしんどくて抜けて、次のアサインできそうなプロジェクトが決まると復職できる流れになります。休職まではいかなくても、明らかに精神的にやばくなってギリギリまで追い詰められていた人もいた。結局休職はしませんでした。

休職する人をみていると上司が原因でつぶれているように思います。

-1回体調崩すと社内の扱いはどうなるのでしょうか?

アサインメントのときにレッテルを張られます。そのためマネージャーが丁寧に扱うように会社側から念押しされます。

1回つぶれると厳しいプロジェクトには配属されなくなります。当然ですが、休職した子にはかなり気を使っています。その分のしわ寄せはマネージャーががんばって働いて巻き取っていますね。

仕事ができなくてつぶれる人もいるので、そう言った人は休職の経験に関係なく誰かが巻き取らないといけないですね。

-ポジションに関係なく体調を壊しているのでしょうか?あとは女性のコンサルタントはどうでしょうか。

マネージャー以上は体調を壊す人はほとんどいないです。たまに見かけるくらいです。もちろん女性でついていけず辞めていく人もいますが、男性、女性というよりその人次第でしょうか。

-同じ企業に複数のコンサルティング会社が同時期に入っていると聞きます。あれはどういった構造なのでしょうか。

同じ企業に複数のコンサル会社が入ることはよく見かけますね。例えば、社長が見ないといけない論点(解決すべき課題)が複数存在しますよね。その論点を解決するために使うコンサルティング会社が違うということです。

各部門でそれぞれ問題があったとします。例えば、調達部門と営業部門とシステム部門で問題があったときに同じ会社がその3部門に対してコンサルを行うことはなかなかないでしょう。

システム部門はアクセンチュア、調達はA.T.カーニー、営業はBCGということもあります。ではなぜ使う会社が違うかというと予算の出元の違いに起因します。コンサルを導入するにあたっての決定権は、コンサルを使って実際に仕事を一緒にする各部門の部長に権限があります。

部門長の決裁権が大きいので、例えば部長がコンサル出身者だったら、自分が出身のファームを使うときが多いですね。簡単に言うと部長が好きなコンサルを使っています。

また、同じ部門でかつ比較的近いテーマでも別のコンサルを使う事業会社があります。

どういうことかというと会社によっては部長ではなく課長が使いたいコンサルを決めることがあります。課長がそれぞれ使いたいファームが違うと似通ったテーマなのに同じ部門に別コンサルが入ることがあるんですね。

コンサルティングファーム同士での戦い

-同時期に同じ会社にコンサルが複数社入ると、コンサルティングファーム同士で議論することもあるんでしょうか?

ありますね。別々のファームがコンサルとして入って同じテーマを検討することがあります。例えば、営業部の改革のために、KPIを変えるとします。

それに伴って営業のインセンティブを変更するとなると給与にかかわるので人事部門が関わってきます。人事部門に別のコンサルが入っていると、その人事部門担当のコンサルと一緒に議論をする必要があります。

-コンサル同士での議論とはなかなかすごいですね。喧嘩することもあったんでしょうか?

ありましたね。コンサル同士のミーティングがあるんですよ。そのときはPMIの仕事だったんですが、M&A を仕掛けた側と買われた側で元々別々のファームが入っていました。

私は、買収側だったのですが、被買収側企業担当のコンサルティングファームからお願いした資料がでてこなくて喧嘩しましたね。早く資料出せよ!という形で火花を散らしましたね。

-コンサルが同時期に入ると優劣がつきやすそうですね。

そうですね。とあるヘルスケア企業買収のときにおこりました。同じ製薬会社なのに買収後のプロジェクトとして、売上アップのためのコンサルとコストカットのためのコンサルがそれぞれ同時期に入っていました。

この時は、お互いのコンサルで情報交換をうまくして我々側のプロジェクトはうまく進んでいきました。コンサルティングファーム同士で議論する場があるのですが珍しく喧嘩にならず進捗が共有されていきました。

ですが、結果として、我々の会社ではないほうのコンサルティングファームは途中で契約を打ち切られていました。

後で理由を聞くと、そこのファームはヘルスケア業界のグローバルスタンダードを提案してきてグローバルではこうだということを語っていたということです。

ですが、その会社自体が規模も大きくなかったためアメリカの事例を出されてもうちの会社では対応できないし当てはまらないよねということで契約をきられていました。

私のコンサルティングファームは幸いにしてベストプラクティスがなかったため、何か当てはめるわけではなく、ゼロからかんがえて、オーダーメイドでクライアントのために考えるしかなかったわけですね。

オーダーメイドできちんとその会社に即したものを作ったのでうまくいったという事例でした。結果として売上アップとコストカットのプロジェクトをまるっと受注できたわけです。

日本の未来は明るい?

-日本の製造業(メーカー)活性化させたいとコンサルに進む人がいます。製造業のプロジェクトに携わって日本のメーカーの未来についてどのようにお考えでしょうか?

かなり個人的な考えですがもう一回世界の中で返り咲けると思っています。今世界を席巻している企業はソフトウェア中心のものが多いですよね。

日本はハードウェアで世界をとってきました。この後どうなるかというと、現在の潮流としてソフトの会社がハードの会社になりつつありますね。Googleが自動車を作ったり、Amazonが実店舗を出す動きがこれにあたります。リアルなハードの世界で動きがあるはずです。

日本の製造業は一度ハードの世界で勝てたことが必ず生かせるはずです。シリコンバレーの会社はハードで失敗、日本はソフトで失敗しています。

でもソフトよりハードのほうが難しいのでハードで勝ったことがある企業のほうが有利なのかなと。これは願望が入っているので、そうあってほしいなと。

上の世代は強い日本を知っていますが若手世代としては日本はすごかったといわれてもぴんときません。ぜひ日本人としてもう1回日本の製造業に世界のトップになってほしいです。

-同期の中でも最速昇進をしていると伺いましたがどのような点が評価されていると思いますか?

先ほどの話と似ていますが、比較的評価をされやすい案件に入れたことが大きかったですね。成果を出せるプロジェクトに入るためにその前のプロジェクトで評判をよくしておいたのと、周囲の期待値を超え続けるだけで評価され続けてきました。その結果が昇進につながったと思います。

評価されたという点でいくと、評価されるプロジェクトに入ったのはもちろんですがその中で何をやったのかというと、論点出し、論点設計という、通常もっと上のポジションである人の仕事をやったからですね。

本当は人数の関係でやらざるを得なかったというのが正しい言い方ですが与えられたチャンスの中でやりきったというのが大きかったですね。

通常、最初の方の仕事は課題が分解してきたものが降りてきて、その課題の解き方もある程度渡されるのですが、それよりは高めの役割をできたことですね。

後は、ネゴシエーションというか社内営業もしっかりしていたことでしょうか。意外と社内営業を若手はしないんですよね。社内営業をする感覚がないみたいです。

昔、ストロークが弱いと言われていたので自分から出ていく姿勢を身に着けました。

思ったよりコンサルタントの質が高くなかった。。。

-コンサルになってギャップはありましたか?いい点、悪い点それぞれ聞きたいです。

一個はプランから実行までやる包括的に事業を作る仕事はないと思ったが実際にあったのが良かったですね。コンサルに求められている領域が広がっているのだなと感じました。

新規事業といってもコンサル自体は事業会社ではないので知見はないですが、論理的に考えてこうすべきだよねってことは言えるので。お客さんがこれをやりたいっていう「Will」と論理的に考えて「すべき論」をつきあわせてプロジェクトをすすめていくのはコンサルとしてやりがいを感じます。新規事業は特に濃いことができるので良いですね。元々、新規事業プロジェクトができることを期待していなかったので一層楽しいですね。

もう一ついいギャップは、コンサルタントってすごいロジカルに考える印象だったのですが、ロジカルな世界だけではなく人間臭いところがあって、人間臭いところが大事になるということですね。

コンサルタントとしてあなたはどんな人かを問われるんですよね。

スキルとか何ができるかではなく、人として何がしたいとか、どんな人かということを問われるんですね。

仕事がそこまでできなくてもお客さんから好かれる人もいますし、頭がすごいいいけどお客さんから嫌われ人もいます。ロジックはあくまで道具の1つであり、目的を達成するためにはロジックだけではだめです。お客さんの「Will」があってコンサルの「Will」と一致するとよいですよね。人間味があるとよいなと思った。

悪かったギャップですがたくさんあります(笑)

人材の質にばらつきがあります。採用人数を増やした結果、質が落ちている印象です。大半は優秀じゃないのではと思うこともあります。もちろん非常に優秀で尊敬できる人もいます。ですが平均してがっかりしました。

また体系化された手法が意外にないんですよね。体系化された知識がないのか使わないか知らないんですが、知識が属人的になっています。

例えばマーケティング系のチームにはP&G出身の人がいて、その人はマーケティングの知識をもっていてすごいのですが、残念ながらその知識は彼の中にしかなく会社にはないのです。

知識の共有という点で問題ですね。またアメリカオフィスの資料もあるのですが日本には適用できないなと実用的ではないものが多いのが現状です。

もう一個は愚痴になりますが、バックオフィスのレベルがちょっと高くないかなぁと。コンサルティング会社はコンサルタントがメインの商品というのはありますが、それにしても人事とか経理のバックオフィスのレベルが低いなと。一個一個の承認に時間がかかりすぎています。

例えば、社内でこれまでとビジネスモデルを変えることを考えていたんですが、その相談をした法務への問い合わせの回答遅すぎて話が進まなかったこともありました。

また、お客さんからの問い合わせにクイックに答えられないところもあって組織がぐちゃぐちゃだなと。コンサルティング会社ですがコンサルを雇ったほうがいいとさえ思いました。

コンサルタントは戦略立案にかかわるべき

-コンサルティング業界はアクセンチュアのように戦略のみならず多岐にわたる分野に進出しているように思います。IT分野(システム、デジタル)含め戦略以外も携わっていくことに関してどのようにお考えですか?

1スタッフの立場としてはネガティブですね。なぜならプランを立てるところが知見を発揮できるという意味でコンサルティングの一番おもしろいとこです。個人の成長欲求としても戦略を立案する仕事に価値を感じます。

コンサルタントとしてはプラン立案でバリューをだすことは大前提でだと思っています。その実行段階をどうするかというときにはじめてITやオペレーションという分野が大事かもしれないです。

しかし、プランを立てずににただ、実行の部分、半ば作業的なところだけやるのはあまりよいとは思いませんね。儲かるからやるっていうのは違います。
戦略立案から実行まで全部やろうというのはいいと思います。

 一方、コンサルティング会社の経営者の目線では、バジェットの大きい案件を取る意味ではITやオペレーション、コンサルタント派遣といったこともいいと思います。

やっぱり若手の1コンサルタントだと、好ましくないのでコンサルティング会社の経営者にはストラテジーをたてるところから入りたいよねというのは伝えたいです。

-コンサルティング会社としては難しい立場ですね。

ただ、ただ儲かるだけの案件をやるだけではなく戦略案件をもっとやってほしいなと思います。パートナーが儲かる確実な案件ばかり取りに行ってチャレンジしてないなと思います。ITプロジェクトで課長のところに取りに行くことだけではコンサルティングファームとしての成長がなくなると懸念しています。

会社によってはCXO関連のプロジェクトにこだわって、案件をとりにいくところもあるので、そういったこだわりをもっていくコンサルがもっとあってもいいと思います。

-今後のキャリアについてどのようにお考えでしょうか?もし希望のプランがあれば聞きたいです。

考え中です。コンサルタントとしてしばらくやります。学ぶことはいくらでもあるので当面は辞めるつもりっはないです。恥ずかしながらコンサルという仕事は学べることが多いというのを最近になってきづいた。

プロジェクトをこなすうちにプランニングの難しさを知れました。その後は事業をやる側にいきたいですね。ベンチャーか経営企画にいくかは決めていませんがざっくりそういうイメージです。

-仮にコンサルに転職するとしたらどこのファームに行きたいですか?

よその会社のことはわからないので難しいですね。伝聞ベースの情報に基づいた判断になりますが、体系的に勉強できる会社はマッキンゼーなのではないかと思っているので、無理やり出すとしたらマッキンゼーです。

人数も多くはないので人材の純度が高そうです。勝手なイメージですが。

-新卒でコンサルティング業界を目指す方に何かアドバイスはありますか?

ギャップの話からつながるんですが、思っているコンサルタントの軸はロジックだけではないです。人間性やWILL(意思)の世界を出せることが大事です。

お客さん以上にお客さんの会社を考えるとお客さんが動きます。頭がいいという人だけではダメなんです。

マッキンゼーは情熱がある人が多いと聞いているので、さっきマッキンゼーを転職したいファームとしてあげさせていただいたのもあります。

絵にかいた餅といわれるか、実行にうつしたいといわれるかどうかは提案するコンサルタントの熱意次第だと思います。

それらしい、最もな知見やベストプラクティスを並べることはだれでもできます。クライアントに生の感覚をきちんと持たせることができて、情熱がある人が求められますね。

-生の感覚をもたせるとは具体的にどういうことですか?

例えば営業部門の改革プロジェクトをしていたとします。営業のあるべき論を語るのは資料をもらえば簡単にできますが、それだけではなくて、営業の人と一緒に彼らの顧客先に同行してアナログな情報を手に入れるようにします。

営業部門として長年の工夫やこだわりがあるのはどこのなかということを理解した上で提案するのとそうでないのとは違います。

あるべき論だけかざして、お客さんのこれまでの取り組みを何も踏まえずに否定することは間違っています。

お客さんの取り組みをふまえ現場の状況を把握したうえで提案するとお客さんが最後動くかどうかが変わってきます。ただ、生の感覚をもたせるのは難しいですよ。

-転職して非コンサルティング業界からくる方にメッセージはありますか?

新卒からコンサルなので中途の方にアドバイスできることは少ないですが、一つ言えることは中途には厳しいということです。

新卒は最初は使い物にならないというのはわかっているのである程度寛容です。しかし、中途へのプレッシャーはかなりあります。

そんな中でコンサルのやり方がわからないまま働かなきゃいけないので最初は、相当に厳しいことを覚悟しておいたほうがいいです。

コンサルに新卒からいると、実際現場でどのように事業がまわっているかがわかりません。

一方、事業会社出身の人は事業会社の論理がわかるので、お客さんのロジックを考えてあげられることが強みになるのでしょうか。コンサルスキルは後から学ぶことができますが、事業会社の論理は実際に働かないと学べません。

また、中途の人はコンサルにならなきゃいけないという感覚をもっている感じがする。

コンサルは企業参謀としてロジカルにふるまわないといけないというイメージがあると思いますが、それよりも企業のことを本当に考えられる生の感覚をもち、そして何より自分の考えをもってコンサルタントとして働くといいと思います。

-ありがとうございました。

編集後記

今回は現役コンサルタントの方にお話しを聞かせていただいた。ここには載せられなかったものも含めコンサルタントの濃い情報を聞くことができた。コンサル志望者には何度読んでもよい内容である。

印象的だったのはコンサルタントとしての仕事を楽しんでいるということだった。成長よりも単純に楽しんでやっているからこそ結果が出ているように感じた。仕事をもっと楽しめる人が増えるとよいと思う。これほどの長文を読んでいただいたことに感謝する。

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すでにコンサルの方で事業会社へ転身したい方は、【BIZREACH(ビズリーチ)】に登録し様子をみてほしい。今日は以上だ。

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