一生安泰だと思った大企業に入社した、もしくはある程度までは出向もなく出世できると信じていたのに、30代になったとたんに実は、一生働き高給を維持できる会社ではないことに気付く事例が増えている。
東芝や三菱銀行やさくら銀行や住友銀行、第一勧銀に入っていた人は自分が窮地に追い込まれるとは思ってもいなかっただろう。
- ゆでガエル現象の恐怖
- なぜ、転職界のゆでガエルになるのか
- 年収の高騰で動けなくなる恐怖
- ゆでガエルにならないために
- 企業名が転職市場で評価されているか調べる
- 市場価値だけは把握しておこう
- 次の行動指針を定める
ゆでガエル現象の恐怖
ゆでガエル現象とは、水にカエルをいれた状態で水温を徐々に上げていくと熱湯になるのにカエルが気付かず致死温度になったときには、すでに動けなくなってしまっていることである。
ビジネスでいえば、大きな企業に入り、市場価値の高い仕事をしていると思って30代後半にさしかかり、何かのきっかけで転職活動をしようとすると、今の給与を維持した状態で転職できず、自分と市場との認識が全くあっておらず今働いている会社にしがみつくしかない状態のことを指す。
なお、ゆでガエル現象は現実には起こらず、カエルの皮膚が温度の変化を知覚し、カエルは逃げ出すのである。
一方、銀行や、右肩下がりのメーカーで働いている社員は、カエルの皮膚ほど敏感ではない。今のままでなんとかなると思っている中年にさしかかった社員のほうがゆでカエルに近いのである。
当サイトの読者である、20代から30代前半の方に関しては、ぜひともゆでガエルにならないようにしていただきたい。
なぜ、転職界のゆでガエルになるのか
転職界のゆでガエルになる理由は大きく分けて2つある。1点目は、自社が危機に陥ると思っておらず、社内で頑張って生き残ることしか考えていなかったからだ。2点目は、会社で培った経験が他社でも通用すると勘違いしていたからだ。
1点目に関しては、みずほ銀行で働いている40代後半以降の世代に聞いてみるとよい。
まさか自分の働いていた銀行が、なくなったり、合併されたりして、今や新卒就活でエリートがいくところではなく優秀層の滑り止めとなったメガバンクの中の滑り止めになっているとは夢にも思わなかっただろう。
恐らく自分が東大法学部から長銀に入っていても同じことを思っていただろうから、この点に関しては全く現在のみずほ行員を責めることはできないが、会社を少しでも疑い、もし会社がダメになったら、ダメになる可能性は?業界は大丈夫かを必ず見ておいてほしい。
1点気を付けていただきたいのが、大企業はどうなるかわからないということだ。だからベンチャーに行けという言葉を使うことがあるが、ベンチャーに比べて大企業が倒産する可能性は低い。
ベンチャーか大企業か迷うくらいならとりあえず大企業に行ったらよい。腹をくくったものだけがベンチャーに行くべきで、なんとなく行くようなところではないと覚えておいてほしい。
さて、話が伸びたが、2点目は会社で培った経験が他社で通用すると思っていたということだ。大企業の場合、会社独自のシステムや仕事の進め方で、他社とあらゆる面で異なっていることがある。仕事のための様々なツールがあり、エクセルやパワーポイントはどの会社でも使うだろう。
しかしエクセルを方眼紙に使う会社もあれば、文書を保管するワード機能として使っているところもある。エクセルの機能はスプレッドシートに大体でき、Google Apps Scriptで自動化できる仕事が多いからわざわざ、エクセルにしなくてよいよねという会社さえある。同じツールでも使い方が全然違うのだ。
自社の当たり前が他社にとって全く当たり前でなくなっている場合があることを覚えておこう。
特に商社の社内調整のようなつまらない仕事はベンチャーでは全く役に立たない。人にお伺いを立てるまえに、自分でアイデアをつくって提案をしよう。場合によってはプロトタイプを作っていけばいい。
たまに圧倒的な成果を出す人はいつのまにか自分でプロトタイプを汚いコードながらも「動くもの」として作り持っていく人がいた。このような人はまれだが、調整さんのような仕事をしている人からはこのようなアクションは生まれない。
年収の高騰で動けなくなる恐怖
ゆでガエルの話ではお湯の温度があがるが、ビジネスでは給与があがっていく。日系企業は入社年次で給与を定めている企業が多いため、在籍しているだけで課長ポジションくらいまでは給料が上がり続ける。
自分の能力が上がっていると勘違いしつづけて年収=市場価値だと勘違いしてしまう。
あくまで年収は社内での知識と経験、無思考な昭和由来の賃金体系によるものなので市場で反映される価値ではないと思っておこう。
ちなみにだが、マッキンゼーのコンサルタントですら実力が身についておらず社名で仕事をしていたと気づかされる人がいる。
マッキンゼーだとクライアントも信頼し、マッキンゼーの人がいうから正しいだろうとクライアントから厳しいつっこみを受けてこなかったのである。
無名コンサルにポジションアップで転職し仕事をしたら、コンサルタントとしてのアウトプットの評価ではなくマッキンゼーというネームバリューで仕事をしていたと気づくことがある。(だが、マッキンゼーのコンサルタントはこうした事実に気づき自己修正できる点で他の日系大手企業でぬくぬく仕事をしていた人とは異なる。)年俸=実力と思わないでほしい。
ゆでガエルにならないために
常に転職における自分の市場価値を判断してほしい。20代後半になってからは、周りの友人から会社に誘われるかどうかが1つの指標になる。
ベンチャーを創業したり、ベンチャー企業に転職したりというイベントが社会人3年目以降から急激に増えるがその際に友人から「うちにこないか?」と軽いノリで誘われることがあるだろうか?ない人は気を付けたほうがいい。
現在は空前の人手不足でどこの企業も優秀な人を欲しがっている。あなたをよく知っている人たちが誘ってこないとなると、仕事人としての優秀さに関してはやや疑問を呈されているかもしれない。
なお、優秀な人材はうちにこないかという話をよく友人からされる。佐々木希級の美人がデートにひっきりなしに誘われるようなイメージだ。(周りに佐々木希級はそうそういないので見た目が麗しき人だと認識してほしい)
転職を誘われない場合は、まず自分がどのような市場価値にあるかを考えてほしい。市場価値とは年収と欲しがる企業数だ。
年収が高くてもとてもニッチな職業だと、イスが決まっているため必ずしも転職できるとは限らないので、欲しがる企業数が一定以上いることが前提だ。
それゆえあまりニッチな仕事だけしているのは必ずしもプラスにはならない。たとえば将来アクチュアリーという仕事がなくなる可能性があるだろう。
企業名が転職市場で評価されているか調べる
新卒の就活において、総合商社は非常に人気だろう。だが、転職市場になると総合商社の人気は全くない。投資の仕事やファイナンスの仕事をしていたとしても投資銀行の人材のほうがフィットするし、業務改善をしていてもコンサルにはかなわない。
海外で仕事してマイナー言語を習得していて、ニッチな領域ができる人くらいだろうか、他の業界に勝てる人は。ただしマイナー言語を使う仕事はそうそうないが。
転職市場になると給与の高さも相まって、あまり人気がない。丸紅の社員が転職しようとすると思った以上に人気がなくてびっくりするだろう。
三菱商事だとブランド力がありポテンシャル枠で年収さえ折り合えば採用される傾向は高い。ただ、商社の中で三菱商事だけ離職率が低いため、マーケットに出てないこともある。
市場価値だけは把握しておこう
転職エージェントに会って、私の業界や企業の人はどこに転職していますか?できていますか?と聞いてみよう。言葉を濁されたり、大手企業の子会社にしか転職できていなかったら厳しいだろう。
どこでも通用する営業力をもつキーエンスのような会社でなければただの営業マンは淘汰されていく。
市場価値を見極めたうえで転職活動に精を出してほしい。転職活動といっても転職サイトのビズリーチ等に登録し給料がいくらもらえるかをチェックし、転職のタイミングはいつか知っておくだけでいい。
大手企業の人は特にビズリーチに登録するだけで本当にいいのでまずはこれだけでもやってほしい。ビズリーチはちなみに無料で使えるので本当にまずは使ってから、キャリアを考えればよい。今の年収よりも高いオファーがこなくて絶望するだろう。
次の行動指針を定める
出世したら会社に残る、海外に行けなかったら転職する、出世できなくても定年後の年金まで逃げ切れそうなら残るといった選択肢をしよう。
やみくもにベンチャーに行けばいいわけではないので安定志向の人は、リスクがない方向にいこう。公務員に転身したっていいのだ。20代中盤ならまだ間に合う。
また、公務員から民間にいってもいい。士業の人は、民間にいき、だめだったらまた士業に戻ればいい。こうした選択肢を吟味するためにも転職サイトおよび転職エージェントを利用してキャリアを考えてほしい。
ビズリーチの宣伝に再三なってしまうが、まずは登録しよう。後は同様のサイトでキャリアカーバーもよいので使ってほしい。
転職エージェントに会いたい、未経験でもコンサルに転職したい、学歴ないがコンサルにあこがれている等の理由があればアクシスコンサルティングをおすすめしている。
ぜひゆでガエルにならず生き残っていただきたい。今日は以上だ。