総合商社や外資系投資銀行、コンサルティングファームから政治家へ転身する人は増えてきた。2世、3世議員も有力である一方、有名大学、有名企業を経た優秀な人材が国政に挑戦している。特にかつて勢いのあったみんなの党はタリーズコーヒーの創業者であった松田公太氏をはじめ会社や起業で成功した人が集まった。
橋下氏主導の維新の会や小池百合子氏が開催した政治塾でも同様の人材が集まってきた。議員秘書や政治塾のみしか知らない人材から民間企業出身者が多くいる時代となっている。
- 安倍首相は神戸製鋼出身
- 三菱商事の商社マン
- 慶應内部NHK出身世襲議員
- 父親と夫が逮捕される
- 林修氏と似たキャリアを 歩んだ政治家
- 東北大=>NTT出身の女性議員
- 元財務大臣はNHK記者
- 新卒DIで不倫宮崎議員の元妻はコロンビア大院卒
- 理系院卒の日立勤務
- 医学の道から官僚へ、そして議員へ
- NTT出身の女性起業家
- 総理を父に持つ華麗なる一族
- 同じく総理を父にもつ元TBS社員
- 環境、土木のエンジニア
- メガバンク出身議員
- NHKのカメラマンも議員
- 東工大博士、バイオベンチャー起業家である医薬系のプロ
- 編集後記1
さて、衆議院銀選挙で当選した有名企業出身者を見ていこう。
安倍首相は神戸製鋼出身
氏名:安倍晋三
学歴:
成蹊大学法学部政治学科卒業
南カリフォルニア大学政治学中退
職歴:
神戸製鋼(3年間)
所属政党:
自由民主党
コメント:
安倍首相は政治家一家なので取り上げるのは正しいかわからないが、最近問題になっている神戸製鋼に勤務していた。USCに通っているが中退している。政治家は既定路線だったので職歴、学歴はほとんど関係なかっただろうが総理大臣なので真っ先にチョイスした。
三菱商事の商社マン
氏名:和田義明
学歴:
早稲田大学商学部
職歴:
三菱商事(約20年:部長代理)
所属政党:
自由民主党
コメント:
旭化成勤務の父の都合でパリのインターナショナルスクールに通う。早稲田大学商学部卒業後、三菱商事に入社し、インドに5年、ペルーで1年と自動車事業部に在籍。同社の中でも自動車事業部は主要事業であり、かつ、海外駐在も長いことから商社マンとして優秀ということはうかがえる。
ただし、官房長官等、自民党の重鎮であった故町村信孝氏の次女と結婚したのちに議員になっているので実質世襲的な要素は否めない。町村氏の死去による選挙による当選だった。
慶應内部NHK出身世襲議員
氏名:山岡 達丸
学歴:
慶應義塾大学経済学部
職歴:
NHK
所属政党:
希望の党
コメント:
慶應中等部からのいわゆる慶應ボーイだ。NHKに7年ほど勤めて記者をしていた。山岡氏も父は民主党の重鎮であった民主党の山岡賢次氏である。こちらも実質世襲である。しかし、選挙に2回落ち苦労を味わった。
父親と夫が逮捕される
氏名:石川 香織
学歴:
聖心女子大学文学部哲学科
職歴:
日本BS放送総合職兼アナウンサー職
所属政党:
立憲民主党
コメント:
BS放送総合職として入社し、後にアナウンサーに転じる。父親は偽計取引容疑、夫である石川知裕議員は小沢一郎氏関連の事件でともに逮捕されるという修羅場をくぐりぬけている。今回は石川氏が選挙に出れなかったこともあり代だ出場であったが、総合職からアナウンサーへの転身経験、家族の逮捕経験があり、メンタルの強さは相当なものだろう。政治家としては未知数。なお今回小選挙区で破った、故中川昭一氏の妻であり三菱商事一般職社員であった中川 郁子氏は不倫問題で自爆した感じがある。
林修氏と似たキャリアを 歩んだ政治家
氏名:階(しな)猛
学歴:
東京大学 法学部
職歴:
日本長期信用銀行(休職中弁護士資格取得)=>新生銀行=>みずほ証券
所属政党:
希望の党
コメント:
東大野球部投手、東大法学部卒、長期信用銀行とエリートの模範生のような経歴だ。なお、東大法学部卒、日本長期信用銀行と同じ経歴を歩んでいる東進ハイスクール講師の林修氏の2学年下である。林氏は階氏が入行する前に辞めている。
在職中に司法試験に合格し、かつ日経文庫からでている「銀行の法律知識」というそこそこ有名な本を執筆している。シンジケートローン、デリバティブといった契約実務がある。
民進党時代から議員として実績がある。
東北大=>NTT出身の女性議員
氏名:岡本 あき子
学歴:
東北大学教育学部卒業
職歴:
NTT
所属政党:
立憲民主党
コメント:
民間出身ではあるもののNTTを経て、仙台市議会を5期勤めたのでどちらかといえば議員職が強い。小選挙区で敗れたものの比例で復活した。
元財務大臣はNHK記者
氏名:安住 淳
学歴:
早稲田大学社会科学部
職歴:
NHK
所属政党:
無所属
コメント:
民主党時代は問題も多かったが安住氏は小選挙区で無所属で当選した。財務大臣時代に関しては特に触れないが、NHKの記者として自民党を担当していた。8年間の勤務を経て、2度目の国政選挙で当選し、以後7回の当選を誇った。
新卒DIで不倫宮崎議員の元妻はコロンビア大院卒
氏名:加藤 鮎子
学歴:
慶應義塾大学法学部
コロンビア大学大学院
職歴:
ドリームインキュベータ
所属政党:
自由民主党
コメント:
落選した金子恵美議員の夫である宮崎謙介氏の元妻であり、官房長官をつとめた加藤紘一氏の娘でもある。また小泉進次郎氏とはコロンビア大学院の同期であり、さらに野田聖子議員の秘書を務める等、政治家の名前がたくさんでてくるプロフィールだ。
一方、慶應卒、ドリームインキュベータと単に世襲というだけではなく能力面でも優秀と推察される。またドリームインキュベータ創設から間もない時期に同社に参画しており、ベンチャーマインドにもあふれている感じがある。
プロフィール | 加藤鮎子(かとうあゆこ) Official Site
理系院卒の日立勤務
氏名:浅野哲
学歴:
青山学院大学大学院
職歴:
日立製作所
所属政党:
希望の党
コメント:
比例復活ながら35歳で当選した新人である。理系であり、日立、議員秘書を経て当選した。日立市が選挙区なので日立パワーは絶大であろう。新人ながら肉薄できたのは日立のおかげなのだろうか。
医学の道から官僚へ、そして議員へ
氏名:国光文乃
学歴:
長崎大学医学部医学科
米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)公衆衛生大学院
東京医科歯科大学大学院 博士課程
職歴:
国立病院機構災害医療センター(医師)、国立病院機構東京医療センター(医師)、厚生労働省
所属政党:
自由民主党
コメント:
民間勤務はないものの今回経歴に注目し取りあげた。海外大学院に留学や博士取得、地域医療に従事し、厚生省に転職してからの立候補ということで非常に筋が通ったキャリアになっている。無名のため僅差で小選挙区を制したが、キャリアを踏まえるに非常に有能な人材ではないかと感じた。
NTT出身の女性起業家
氏名:尾身 朝子
学歴:
東京大学法学部
職歴:
NTT=>ITコンサルティング会社起業
所属政党:
自由民主党
コメント:
東大法学部卒業後、NTT入社後、起業した。2014年に当選した。年齢はすでに56歳ではあるが議員経験は浅いものの父親は元財務大臣の尾身幸次氏であり世襲である。ITに明るい議員の存在は心強い。
総理を父に持つ華麗なる一族
氏名:福田 達夫
学歴:
慶應義塾大学法学部法律学科
職歴:
ジョンズホプキンス大学高等国際関係学研究所、三菱商事
所属政党:
自由民主党
コメント:
福田康夫元首相の息子であるので世襲だ。ジョンズホプキンス大学高等国際関係学研究所、三菱商事でリサーチャーを経て選挙に出ている。三菱商事でも10年以上勤務しており民間経験は十分にある。福田家にありながら政界進出はやや遅いかもしれない。華麗なる一族の一員であることだけは間違いない。
同じく総理を父にもつ元TBS社員
氏名:小渕 優子
学歴:
成城大学 経済学部
早稲田大学大学院 公共経営研究科
職歴:
TBS
所属政党:
自由民主党
コメント:
小渕元首相の娘で当人も大臣を務めるなどすでに有名だろう。成城大学からTBSなのでコネであると推察される。また大学卒業後に早稲田大学で修士号を修めている。議員と並行しながらということでどうやって時間を捻出し論文を書いたか気になる。
政界進出も大学卒業後4年ということで当時かなり若かった。問題があり現在は失脚しているが捲土重来を期すところか。
環境、土木のエンジニア
氏名:黄川田 仁志
学歴:
東京理科大学理工学部土木工学科
メリーランド州立大学大学院沿岸海洋環境科学プログラム
大阪大学大学院工学研究科(博士課程単位取得退学)
職歴:
東和科学株式会社
所属政党:
自由民主党
コメント:
環境コンサルタントとして専門知識を有している。大前研一の政治塾、松下政経塾に入塾していた。2回の当選で、今回も順調に選挙に勝利した。いわゆるエンジニアリングバックグラウンドに議員の中では近い存在だろう。
メガバンク出身議員
氏名:大塚拓
学歴:
慶應義塾大学法学部政治学科卒業
ハーバード大学ケネディ行政大学院公共政策修士プログラム
職歴:
東京三菱銀行(現:株式会社三菱東京UFJ銀行)
所属政党:
自由民主党
コメント:
慶應義塾高校から慶應大学を経て三菱銀行に入行し6年勤務経験がある。ハーバードケネディで修士号を取得したのちに衆議院銀選挙に出ている。不動産経営の経験もある。
選挙では民主党が大勝利したとき以外は当選している。
今回は大勝した。
NHKのカメラマンも議員
氏名:岡島一正
学歴:
早稲田大学社会科学部
職歴:
NHK(カメラマン)
所属政党:
立憲民主党
コメント:
比例で復活当選した。世襲である。NHKに勤務していたが報道カメラマンという議員としてはやや特殊な職業であった。2003年に議員当選した。小沢一郎についていったが立憲民主党から出馬し議員に復活した。
東工大博士、バイオベンチャー起業家である医薬系のプロ
氏名:宮川伸
学歴:
東京工業大学無機材料工学科卒業
東京工業大学博士課程修了(理学博士)
UCSD研究員
職歴:
バイオベンチャー起業
所属政党:
立憲民主党
コメント:
2016年まで創業したバイオベンチャーリボミックの役員をしていた。研究者畑で海外、国内と研究者として実績を出し起業でも結果をだしておりバイオ領域では非常に強いビジネスマン/研究者だろう。今回立憲民主党で歯科医師に大差で敗れたものの比例復活を果たした。
編集後記1
民間出身者が予想以上に多く一部しか取り上げられなかったので続編を作成予定だ。小選挙区出馬者ばかりだか次回以降比例も見ていきたい。
議員になりたい場合は、親が議員の家に生まれるのが1番よさそうだ。裏技は議員の娘と結婚することか。
政党で公認候補として選ばれるにあたっては有名企業にいたほうがよさそうではあるため有名企業に1度在籍する価値はある。安倍首相、小渕元大臣ともに民間企業3年の勤務だが大手企業の肩書があることが大きい。ただの親の七光りと少しでも思わせないうえで有効だろう。入社自体が親のコネと言われているかもしれないが。
次回以降も楽しみにしてほしい。政治に興味がある方は、大手企業に行くのも1つの手であろう。
転職の際は、ビズリーチをつかうとよい。ここにのっていた企業クラスの転職をあつかっている。
パート2は下記から。
今日は以上だ。