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メガバンクは数十年後消えているかもしれない。メガバンクから転職したコンサルタントが語る:前編

メガバンクは採用人数も多い一方、転職する人も多く謎につつまれている部分が多い。コンサルのネクストキャリア、転職先、そしてメガバンクの現状についてメガバンク出身者にインタビューを実施した。メガバンクからの転職を検討している方にご覧いただきたい。前編ではメガバンクの未来を、後編ではコンサル業務、転職事情について語っている。

*後編も公開しました。記事下部にリンクがございます。

主体的に選んだキャリアではなかったメガバンク

- Wendyさんのご経歴を伺ってよろしいですか。

私立大学を卒業後、新卒でメガバンクに入行しました。支店と本店で約6年半勤務しました。その後、外資系コンサルティングファームに転職し2年ほど勤務しました。現在は別のファームに転職し、コンサルタントとして勤務をしています。

-3社とも誰もが知っている会社ですが、新卒でメガバンクに入行した理由はなんでしょうか?
実は主体的な理由でメガバンクに入行したわけではないんですね。大学卒業後にやりたいことを在学中に見つけることができませんでした。そこで会社役員をしている父親に卒業後の進路について相談をしました。

すると父親は、やりたいことがないならまずは社会人の基礎が学べるところにいきスキルを身に着けて、徐々に自分のやりたいことを見つけていき人生を選択していくことが良いのではないかというアドバイスをしてくれました。

よって、メガバンクには最初から入りたくて受けたわけではなく、将来の選択肢を広くもっておきたいという理由からメガバンクを受けてそのまま入行した感じです。

会社に依存する時代ではなくなる

-その選択を振り返ってみていかがでしょうか?

自分の選択はよかったと思っています。将来の選択肢を残すという観点においては、転職先として同業の金融業界に転職可能ですし、コンサルにもファンドもベンチャーも転職は可能です。ただし現在はどこの会社に勤めているかが大事ではなくなってきているので他の観点で見ると違う選択をしていたかもしれません。

 

-就活生や今の学生にメガバンク、商業銀行をすすめますか?

これから入る人にはすすめないかもしれません。というのも銀行自体の競合に変化があったからです。銀行が従来やってきた領域に、世界規模ではグーグルやアマゾンが参入してきましたね。

日本の大手企業でもリクルートが融資の分野に参入してきました。フィンテックという文脈でIT企業が従来の銀行のビジネスに参入してきて、メガバンクは侵食されつつあります。そのため従来の金融業界に所属している企業の売上が下がるのではないでしょうか。業界がこれから右肩下がりになるなかで入行をすすめられない部分はあります。

それでもメガバンクのトップ企業はブランド価値がありますのでブランド自体は価値が下がらないでしょう。そのため最初の3年、5年勤務して他のところに行くという点では信用のある企業で働いていたことをアピールできますのでよいかもしれません。

支店営業も経験

-メガバンクでは入行後どのようなことをしていたのでしょうか?

最初の2年間は支店で営業をしていました。その後本店に異動し4年半勤務しました。本店では他国の中央銀行とかかわる仕事をし報告書を作る事が主でした。

-2年で本店に行くのは限られた優秀な人だというイメージがありますが実際そうなのですか?
そうですね。本店に行くパターンは2パターンあるでしょうか。
優秀な人がいくパターンが一つなのですが、もうパターンとして、支店で営業が全くできなくて現場では厳しいということで本店に行く場合があります。

-Wendyさんはいかがだったのでしょうか?
もちろん優秀なパターンです(笑)。
優秀というのは支店で営業成績が良かったということを想像しているかもしれませんがかならずしもそれだけではありません。


英語ができるとか。行内試験で成績がいいといった、いわゆる試験の頭枠がありその枠で本店に行くことができます。私は資格の勉強に励み、英語もできたので「本部キャラ」をアピールしていたのであいつは本部に送るべきかという流れになっていきました。

支店はつまらなかった

-支店での営業はどうでした?

面白くはなかったですね。中小企業に対して融資をするのはつらかったですね。よく下積みは価値があったと言う人がいますが、私は専門性が身につかなかったのであまりいい2年だったとは思いません。

銀行は特に最初は営業はやれという雰囲気があります。営業が嫌だったら最初から営業は嫌と伝えておくほうがいいと思いますね。

融資という業務が不毛でして、中小企業への融資は銀行としてしない方針があるんですね。しかし銀行は体裁的に中小企業もちゃんと扱っているという話をしないといけないんです。

銀行自体が中小企業にあまり貸し出ししたくないのに貸し出しを推進しないといけないので銀行の汚れ役ではないでしょうか。結果が出しにくい環境で動かないといけないのはつらいものがありました。

-支店で結果を出す人はどのような人ですか?

社内の評価をあげるのがうまい人ですね。具体的には、社内で他の先輩と組んだり、融資の過去の事例をいただいたりできる人ですね。もらった情報をお客さんに生かして融資を実行します。身の回りの人と良好な人間関係をうまくできている人が結果を出しています。

若手のころはスキルで他の人に比べて秀でたものはないのでなおさらほかの人との関係の差が結果の差になっていきますね。
私の場合、自分の横の席の先輩といった感じで、自分の席に近い距離の人から信頼してもらうことが大事だなと実感しました。

銀行は受動的な人事になる

-本店での仕事はどのようなものでしたか?身に付いたスキルも多くありそうですね。

本店と支店での営業の仕事は全く異なりました。支店にいると全くエクセル、パワーポイントは使わないんです。本店では汎用的な資料作成スキルが身に付きます。

国内外の広い視野で企画関連の仕事をする機会にめぐまれました。しかし、銀行は人事異動が急に降ってきて企画とは全く関係ない仕事になりました。

簡単にいうとAIで代替されそうな単純な仕事だったので将来のキャリアに不安を覚えたのは事実です。

 

銀行にいたら人事異動にさからえないので主体的にキャリアを描かないといけないと考えました。

そこで異動が決まってから銀行を辞めることにしました。

-当時から人工知能の脅威は一緒に働いている人も感じていたのですか?

当時、銀行内で人工知能の話をしてもだれにも理解されなかったです。しかし、現在は銀行自体がなくなるという危機感を現経営トップはもっています。

しかし、当時は現場レベルでは少なくとも人工知能による行員の代替ということは誰も考えていなかったです。実際今振り返ってみて、当時考えてことははずれていなかったと思っています。今、人気だから、有名だからという理由で会社選ぶのではなく自分なりに考えたうえで選択をしないといけないと感じました。

現在は、スマホ1台でも、自分の頑張り次第で情報を無限にあつめることができますね。世界中から情報を集めて仮説を自分なりにもち、どのように行動したら将来、キャリアのリターンが大きくなるかを考える必要があります。

キャリア設計が必要な時代においては、投資家、経営者と同様の思考が誰にも求められているのです。

優秀層から辞めていく同期たち

-同期はどれくらいのペースで辞めていましたか?
4年で3割が辞めています。辞めてコンサル、M&A関連を行う金融機関に転職している人が周りに多かったです。

結局、金融と近しい属性の職業をしていますね。
実は、退職に関しては最近ちょっと拍車がかかっていると銀行の内部から聞きます。今の20代、30代の人たちが定年するころに銀行が残っているかがわかりませんから。

銀行の頭取候補と言われているエリートコースにのっている人たちにとっても銀行自体が残っていなければ頭取になることができませんね。

私のころからそうでしたが優秀層から辞めていっていました。優秀層の中には世の中の流れから考えると、メガバンクのような大企業にいることはハイリスクなのではないかと考えている人もいました。

仮に起業で失敗しても、雇ってくれるところはあります。
ちなみに銀行も新規事業ができる人を中途採用で求めています。

-メガバンクが新規事業ですか?

はい。銀行は銀行の以外のことをしないといけないと頭取がいっています。0=>1の思考ができる人がもとめられています。
中途で新規事業系の人を採用しようとはしていますが、まだまだ銀行的なカルチャーは強いですね。

今後、銀行も新しいテクノロジーに対応すべく、子会社等を設立していくかもしれないですね。フィンテックの技術に対応していくための動きが活発になっていくでしょう。そしてそのような動きに対応するための人材を採用していくことでしょう。

話は変わりますが、新規事業をしようにも優秀で自信のある人は辞めていっています。
会社以外に依存先がほかにあるほうがいいですね。一つの会社に依存していく生き方が危険です。今ってスマホで世の中とつながることができるのでお金の稼ぎ方は多様化しています。

-銀行に残っている人は優秀ではないのでしょうか?

銀行に残っている人は優秀ではないと思います。
三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行は就職人気ランキングも高いですよね。
安定している会社だからと思い入社して来る人がランキング上位に来ると会社の新規事業を起こせるタイプは皆無になってきます。

先ほどの危機感の話ですが、本部に近く頭取等の近くにいないと銀行の経営の情報は入ってきません。

AIに代替されるといった話は、ある程度知識がないとわかりません。
人間は見たいものしかみませんからね。

メガバンクのようなところにいると、このままでも安泰だと勘違いし、ゆでカエル状態になってしまいますね。

三菱東京UFJ銀行は変革に積極的

-メガバンクの大手3行についてどのようにお考えですか?

 

三菱東京UFJ銀行が変革に取り組んでいます。三井住友はフィンテック時代において動きが遅れています。新しい取り組みをはじめ変革がないですね。みずほ銀行はがんばっています。フィンテック系のベンチャーを買収したり、デジタル推進したり。みずほマネーを発行したりしています。

このままでは三菱東京UFJ銀行と売上が離される一方なので、みずほは危機感をもっているのかもしれません。

みずほフィナンシャルグループ全体と三菱東京UFJ銀行単体の売上が同じなので規模的になんとか追い付かないといけないですね。

-人材の質は各行で違いはいかがでしょう?

コンサルとして三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行のプロジェクトをした人に聞くと若手だけの比較でいくとシンプルに頭の切れが違うとのことでした。

やはり業界内で1位、3位内定したら普通は1位の銀行に行きますよね。そういったところで地頭に差はあるとは聞きます。

-私のメガバンクの友人によると世界規模での戦いに負けているとの話を聞きます。特に人材の部分で。どのようにお考えでしょう?

三菱東京UFJ銀行は日本の銀行の中でも世界で戦えている印象がありますね。一時期ほどグローバル、グローバルと叫ばれなくなり、今はデジタルにシフトしています。

三菱東京UFJ銀行は外資系のJPモルガンやHSBCと比べてもひけをとらない戦いができています。ブロックチェーンのコンソーシアムやMUFGポイントといったものが代表的です。

しかし、今の話は銀行間の戦いの話ですが現在は、銀行自体がシリコンバレーと競争しています。

JPモルガンのCEOが競争相手はグーグルやアップルといっているように産業を超えた垣根をこえた戦いがはじまっています。

グローバルの一面的な側面だけを見て日本は遅れているというのはナンセンスだと思います。

平野氏1人の影響で変革を起こす

-実際、日本人の行員は海外でとじこもるなど国際的な評価には疑問をもちます。実際国際化をうまくすすめているのはだれがやっているのでしょうか?

三菱東京UFJ銀行に関していうと三菱東京UFJ銀行の会長で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のCEOである平野信行氏の影響が大きいです。たった一人の経営者の影響で新規事業やフィンテック分野に飛び出すなど変革をもたらせています。

-メガバンクを見ていくことに今後注目すべきことはありますか?

最優秀な人はメガバンクにかつていっていたかもしれません。現在も総合商社、外銀には及ばないもののエリート層が入行しているのは事実です。

しかし、これからはそうではなくなってきます。このままでは銀行がなくなることさえあるのですから。銀行が優秀な人材をこれからもひきつけることができる存在になっていくかどうかが大事です。安定を求めて入ってくる人ではなく。

人モノ金といわれるが、銀行は人の部分が弱い。お金を出しても採用が難しいのです。
優秀な人の定義すら今はかわっているのではないかと思います。

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優秀さの定義が銀行でも変わる

-優秀な人の定義が変わったとはどういうことでしょうか?

これまでは情報処理能力、IQといった官僚的な優秀さが大事とされていました。これからはもう少し既存の枠組みを壊せるようなことが必要になってくるのではないでしょうか。

例えば学生のうちに起業をしてバイアウトをしてきた、事業を作った経験があります、希少価値の高いエンジニアであるといったことですね。

-インターネット企業の優秀層の定義に聞こえます。

三菱東京UFJ銀行だと、これから店舗を減らすことは決まっています。つまりこれまでの銀行業務がデジタル上に移行されていきます。

これからの世代にデジタルネイティブが増えていくなかで大事なユーザーであるデジタルネイティブ向けのサービスをどんどん提供していくはずです。

そうなると50,60代がトップでは追い付きません。40代が頭取になるという変革も起こるかもしれません。

-新規事業といっても銀行だとできることは少なそうですよね。

銀行法が改正されたので銀行ができる幅が広がりました。これまでは現在銀行がやっている銀行業務しかできませんでしたが、現在は、例えばですがEC(E-commerce)もできるようになりました。

一部ルールがかわったのです。楽天が楽天証券、楽天銀行ができECから金融へと展開していったように、メガバンクのような金融機関がECをやる可能性だってあるわけです。

また、銀行は顧客データこそあるものの、データをうまく活用できていませんし、Google等に比べエンドユーザーの情報が少ないため、もっとエンドユーザーに接していくようなサービスを作っていく必要もあると思います。

-次はコンサルへの転職やコンサルのキャリアについてお聞かせください。

編集後記

メガバンクに新卒で入行した方に銀行の内情を中心に伺った。メガバンクの話かとおもいきやフィンテックをはじめテクノロジーの話が多かった。フィンテックは1つのキーワードになっており、銀行が非常に注力していることがわかる。

また、前編では銀行の概要について述べた。銀行がなくなるという危機感をもっているメガバンク行員はなかなかいないのではないだろうか。また、メガバンクでも新規事業に取り組み始めているという事実に驚いた。

後編では転職活動を中心に伺ったのでぜひ後編も見ていただきたい。

今日は以上だ。

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